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「残り…あと八人ですね…。」
イース・リヴェルタは悲しそうに呟く。
彼女に絡んでいたであろう蔦は、すでに消えていた。
「すみません、足手まといでしたね…。」
イース・リヴェルタは下を向いた。
「気にしないで、イースさん。」
零は、イース・リヴェルタの背中をそっとさすった。
「とりあえず、家に帰りましょう？」
零の言葉にイース・リヴェルタは頷いた。
「大丈夫？」
不意に、そんな声が聞こえた。
「誰だ！」
ウィステリア・レインは叫ぶ。
「僕が、楽にしてあげよっか？」
ニヤッと笑った無邪気な顔は、どうしてもいい笑顔に捉えられない。
一人称は「僕」
しかし、女である。
彼女からは、途方も無い魔力が伝わってくる。
「僕の名前は、紫瀾。僕の魔法は、すごいんだよ♪」
ふざけたことを言うただの子供だと、ウィステリア・レインは高を括る。
腰にある剣を抜いた。
「へ〜〜、僕と戦う？」
舐めた口調だけでは、ウィステリア・レインを興奮させることはできない。
「少し、黙ってもらおうか？」
「余裕だねえ。僕の魔力を越す人はここにいないけど…。」
(今はね…。)
心の中で、少し呆れるウィステリア・レイン。
「病み。」
子供の声が、大人がかった声に変わる。
零は、鳥肌がたった。
ーーーーーー突然、ウィステリア・レインが胸を押さえてしゃがむ。
「ウィスト！！」
彼女が駆け寄ろうとするが、コウ・クルススに阻まれた。
「逃げたほうがいい。お前がかなう相手ではない。」
零は、なおも叫んでいたが、コウ・クルススがウィステリア・レインとともに、移動魔法で二人を別の場所に移した。
ーーーーその場には、イース・リヴェルタとコウ・クルススが残る。
突然、イース・リヴェルタが軽い咳をし始めた。
発作だと気づくのに時間はかからなかった。
「お前も、下がっていろ。」
「いやです…。」
イース・リヴェルタの口を押さえた手からは、血が溢れる。
この間とは、比にならぬ量だ。
「あれ、君は労咳か。」
子供の顔が、怪しく歪む。
「進行させてあげようか。」
コウ・クルススは、イース・リヴェルタの周りに結界を張る。
「あなたのの相手は、俺じゃありませんか。」
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作者名：N | 作成日時：2017年3月19日 23時
