深紅の物語 (ページ20)

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「さて、これからはどうする。」

ウィステリア・レインは、いう。

「戦いは避けられないだろう。」

コウ・クルススがいうと、ウィステリア・レインも賛成した。

「イース・リヴェルタは、この中では抜きんでて魔力があるとはいえ、今は病気だから…。あまり無理をさせると、悪化するだろうね。」

「ああ。」

「彼女には無理させないようにしよう…。ところで、イース・リヴェルタは、何の魔法を持っているんだ？」

「…そういう分類ではないんだ。基本的に何でもできる。」

コウ・クルススがいうと、ウィステリア・レインは、すこし驚いた。

「水とか炎とか、そういうものすべてか？」

コウ・クルススは、否定した。

「だから、そういう分類ではない。」

「では、どういう分類なんだ。」

コウ・クルススは少し考えてから言う。

「彼女の場合、物理的なものを動かすのではなくて、ミス・マナンティアレのように、この世には存在しないはずのものを作り出すような…。」

「スケールが大きくて、理解しがたいな。」

コウ・クルススは、一息つくと、自分の魔法陣を展開した。

「この魔法陣…！」

ウィステリア・レインは、真っ先に反応する。

コウ・クルススは、矛を取り出すと、その先に魔力を集中させる。

黒い光が、だんだん大きくなる。

「まさか、バリアとアタッカーを一度にできる世にも珍しいあの魔法か。」

「その通りだ。」

「ということは、遠距離射撃主戦だな。」

コウ・クルススは、黒い光を分散させた。

「表向きは。」

「表向きって…。」

コウ・クルススは、矛をしまう。

「リヴェルタは、完全な遠距離戦主戦。だが、俺はどちらもだ。」

「どちらもって…。君の武器では、遠距離戦でないと相当な魔力を消費するんじゃないかな。」

「まあな。」

「君の魔力ゲージでは、無理があると思うよ。イース・リヴェルタの魔力でさえ、限界があるのに。」

「今の、俺ならな。」

意味深な言葉を連発中のコウ・クルススに、ウィステリア・レインは、ついていけない。

「今の、君なら…？」

「いずれ、わかる。」

コウ・クルススは、ソファーにすわる。