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彼女の顔は、血の気がない。
「イース・リヴェルタ。大丈夫かい?」
彼女は、ゆっくり目を開くと無理やり微笑んだ。
「大丈夫です。」
立って歩こうとするが、非常に危なっかしい。
「本当に大丈夫ですか?」
零が声をかけるが、決まった返事だ。
「大丈夫です。」
しかし、数歩歩いたところでやはりまた、立ち止まって座り込んだ。
「先に行ってください。あとで追いつきますから。」
零が、真っ先に反対する。
「ダメです。」
その言葉の直後、彼女はあっ、と手を打つと
「駄目元で、やってみますか…?」
と言い、同意を得ずに、イース・リヴェルタの凍るような冷たい手に自分の手を重ねた。
「治癒。」
その瞬間、イース・リヴェルタは、緑色の淡い光に包まれた。
その光は、何分かたつとやがて消えて行った。
「どうですか?」
零は、イース・リヴェルタの顔を覗き込む。
「顔色は、よくありませんね。やっぱりダメでしたか。」
ガクッとした表情を見せると、すぐに真顔になり、
「とりあえず、コウ・クルススは身長的に無理ですから少し身長が高いウィステリア・レインに彼女を任せてもいいですか?」
少年二人は、頷く。
ウィステリア・レインは、彼女を背中に乗せた。
やはり軽い。
「食事は取られているのか。」
ちらっと、イース・リヴェルタの方を見ながらウィステリア・レインはコウ・クルススに聞く。
「…知らない。」
あまりにも無責任な態度に少しムッとして、ウィステリア・レインは思わずコウ・クルススにきつい言葉を浴びせる。
「君の妻だろう。もっと、大切にすべきではないのか。」
コウ・クルススは、思わず眉をひそめる。
「この人と妻になったつもりはないんだが。」
ウィステリア・レインは、驚いたように目を大きく見開き、零に関しては、本当ですか?と声を上げる。
どうやらとんでもない勘違いをされてしまったようだ。
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作者名:N | 作成日時:2017年3月19日 23時