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そんな状況は、何回も続いた。
ついに、ミス・マナンティアレは、壁際に追い詰められる。
ウィステリア・レインは、好機と見て彼女のみぞおちを殴ろうとした。
………。
手が動かない。
見て見ると、無数の鎖が彼を拘束していた。
「プロテクター…!」
彼女は、防御を完璧に備えた封印の魔法、シールドの所持者だった。
…と言うことは…!
ミス・マナンティアレは、古い書物を持った。
「転送準備」
静かに囁かれた言葉は、ウィステリア・レインの封印を意味する。
「準備完了」
どこからか、そんな音が聞こえる。
ミス・マナンティアレの声ではない。
本が、話した…?
本を、遠くからウィステリア・レインの方に向ける。
そして、呪文を唱える。
「シール…」
「バースト!」
声がした瞬間、目の前の敵が吹っ飛んだ。
そのまま、ミス・マナンティアレは壁に叩きつけられる。
「封印解除。」
すぐ隣で、そう言うコウ・クルススが見える。
ウィステリア・レインでさえ砕けなかったプロテクターが、いとも簡単に外れた。
魔力量で言えば、ウィステリア・レインとコウ・クルススは同じはずだ。
「コウ・クルスス。お前は、まさか、封印解除の魔法所持者とか…?」
「違う。」
専門ならまだしも、違う分野となると彼は相当すごい力を持つことになる。
だが、ウィステリア・レインが感じる魔力量はどう見てもウィステリア・レインと変わらない。
「どうした。」
あまりに考え込んでいる様子のウィステリア・レインを見て、コウ・クルススは声をかける。
「いや、なんでもないんだ。」
コウ・クルススに礼をいったウィステリア・レインは、零に駆け寄る。
「怪我は…?」
「していませんよ。」
笑顔で言う彼女に安心したのか、ウィステリア・レインは目線をミス・マナンティアレに向けた。
彼女は、仲間の二人に介抱されている。
「行こうか。」
ウィステリア・レインは、他の三人に声をかける。
みんなは微笑んで、歩き始めた。
しかし、数歩歩くと、イース・リヴェルタが突然、崩れ落ちた。
偶然そばにいたウィステリア・レインが彼女を支える。
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作者名:N | 作成日時:2017年3月19日 23時