深紅の物語 (ページ13)

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イース・リヴェルタは、ノックの音を聞いて、答える。

「入ってください。」

入ってきたのは、予想通り、コウ・クルススである。

「クルスス、零とは、いい仲になれそうです。」

突然言われたものだから、コウ・クルススは、少し固まった。

だが、すぐに我に帰る。

「ウィステリア・レインさんとは、うまくいきそうですか？」

彼は、うまく入っていないことを素直に明かせざるを得なかった。

「いや、あまり。」

「…まあ、予想済みですけど。」

なぜだか無理して笑っているように見える彼女が痛々しい。

上手く行っていないのもそうだが、きっと、病気のことでも、悩んでいるのだろう。

「あ、そういえば…。」

イース・リヴェルタは、ふと気がついたように機械を取り出した。

「これ、シェネキスと言って、互いに連絡を取れるのだそうです。」

そこには、すべての魔法使いの名前が書かれている。

総勢、12人である。

「まだ、あったことがない人とかにあったほうがいいですか？」

その時の流れシェネキスが振動して、誰かの連絡がきたことを知らせた。

“会いたいです！！！！！”

罠があるかもしれないとは、一応想像はしているものの、逆にチャンスであるかもしれない。

「お前は、行きたいか。」

イース・リヴェルタは、少し考えてから、いう。

「あったほうが、今後のためにもなるかと…。」

その時再び、シェネキスが振動する。

今度は、通話式だった。

「御機嫌よう、イース・リヴェルタ。」

その声は、聞き覚えがある。

「こんばんは。零。どうしました。」

相手の零は、少し間を置いてから話す。

「…会いたいと言ってきた人はいますか？」

「ええ、とある女性が、会いたいと。」

なにやら雰囲気が重くなっていく。

「その方は、まさか…。」

「はい。修道女、ミス・マナンティアレですが…。」

「突然ですが、私たちも同行してもよろしいでしょうか？」

「ええ、構いませんが…。」

なぜ、ついてくる必要があるのか。

「彼女は、私の恩人ですわ。しかし、救って頂いた時それの代償に、目の前の敵を難なく殺した…。」

電話越しに、そうだったのか、と呟く声が聞こえる。

おそらく、ウィステリア・レインがいない時のことだろう。