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耳元で低く唸るように囁かれて、俺は思わず腰が抜けそうになった。
慌てて近くの椅子に手をついて、俺より数センチは高い赤井さんを見上げる。
赤井さんは急に左手で自分の頬の肉をつかんだ。そして俺が何か言う暇もなく、それを引き剥がす。メリメリッと嫌な音がして、赤井さんがメイクマスクを剥ぎ取った。
ナイフのように尖った瞳が、絶対零度の温度で俺を見つめている。喉の奥がごくりと鳴った。
「う、嘘なんてついてませんよ…」
俺は赤井さんを睨み返す。
赤井さんはそれには答えず、いきなりキッチンの上に置かれていたエコバッグをひっくり返して、中身をぶちまけた。野菜や果物やお菓子やらが、すごい音を立てて床に散らばる。
「ちょ、ちょっと何するんですか！！！！」
思わず怒鳴ったら、赤井さんはエコバッグの中から何か小さな黒光するものを取り出して、それを俺の方に投げて寄越した。
机にコロコロと転がったそれに、俺は驚愕で目を見開く。
「こ、これって………」
四角い、金属機だった。先端がマイクのように奇妙に曲がっている。息を飲む。なんなんだ、これ………。
「盗聴器だな」
赤井さんは驚いた風もなくそう言って、机の上の電子機器を、拳で叩き割った。ビリ、と音がしてそれがまっぷたつに割れる。
「ずいぶんと良い趣味してるじゃないか、お前の可愛い恋人さん。
君のことが好きすぎて、私生活でも盗み聞こうとしたんじゃないか」
「嘘だ……そ、そんな馬鹿な…。だってこれは安室さんがっ！！」
くれたものなのに、そう言いかけてはっと口を押さえる。
しかしもう手遅れだった。
赤井さんが俺の目をじっと見つめていた。思わず後ずさったが、赤井さんは逃さなかった。
肩を掴まれて、引き戻される。
そのまま胸ぐらを掴まれて、壁に押しつけられた。
「あ、赤井さん！！！！？？」
「あれだけ近づくなと言ったのに、彼にのこのこついて行ったあげく、あまつさえ盗聴器までもらって帰ってくるとはな。恐れ入ったよ」
「は、はなして…ください」
壁に押しつけられているせいで、うまく喋れない。
赤井さんが嘲笑するように、そんな俺を見下ろした。
「あのボウヤの実の兄とは、思えんな」
赤井さんの怒気を含んだ声が、俺の一番弱い部分をぐさりとえぐった。
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海星(プロフ) - カラ松ガールさん» ありがとうございますっ…！ めちゃくちゃ嬉しいです！！ 頑張ります！ (2019年10月31日 7時) (
レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - 前回からここまで一気読みしました！神ってました！大好きです！ (2019年10月30日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 74話に誤字がありました。「有紀子」ではなく、「有希子」です。 (2019年10月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 架印�靴気�» わわわ！ ほんとですね！ お恥ずかしい…ご指摘ありがとうございますっ！ (2019年10月26日 10時) (レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 66話：「このタケシード姿、なかなかいいな」の所…。“タキシード”が“タケシード”になってますよ。 (2019年10月26日 0時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2019年10月18日 9時
