守ってください赤井さん！！！3【名探偵コナン】

episode98 ページ8

頭を抱え、誘惑と葛藤している高木刑事。
ドリームネズミランドは高級テーマパークなので、いくら公務員といえどそうそう足を運べないはずである。

やがて誘惑に負けた高木刑事が、そろそろとポケットから一枚の写真を取り出した。

「実はタナベは、ずっと行方不明になっていた。この事件が起こる前から」

「行方、不明？」

「そう。この写真を見て」

写真には、一人の男性が、可愛らしい女の人と肩を組んで写っている。どうやらどこかの山荘らしい。仲睦まじい様子の二人は幸せそうに微笑んで、恋人同士なのだろうと思わせた。
はっとして男の方を凝視する。
顔に大きな傷跡がないのですぐには分からなかったが、この男性はタナベだった。
目元や少し不器用そうに笑う口元が、タナベに酷似している。
あのナイフをしきりにちらつかせていたタナベとは、似ても似つかぬ好青年がそこにいた。

「これって……」

「二年前にとられたものだ。この写真が撮られて半年後に、彼女＿＿＿三宅雪子さんは行方不明になっている」

写真に写っている、もうひとりの女性。
タナベの肩に頭をおいて、幸せそうに頬を染めている。

「その直後、タナベも行方が知れなくなっていた。二人とも両親が他界してて、目立った交友関係もなく、行方不明になってもしばらく誰も気がつかなったらしい。
だいぶ後になって、タナベの大学の知人が捜索願いを出したそうなんだが、それも数ヶ月前に取り下げられている」

「それって…どういうことなんですか？」

「分からない。聞こうにも、もう本人がいないんだ」

高木刑事は、眉をひそめ、重いため息をついた。

「この世にはね」




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