episode112 ページ22
「俺の言うことが聞けないらしいな」
「……聞いたことなんて一度もないけどね」
ぼそっとつぶやくと、わざとらしくガチャと安全装置を外す音がしたので、慌てて口を閉ざす。
ここで撃ち殺されてはパーティに行けない。
「着替えろ、いいな」
「やだ」
「着替えろ」
「やだ」
「撃つぞ」
「撃てば?」
グイッと顎をそらすと、頭をがしがしと撫でられる。
「……いけない子猫ちゃんだ。あまり困らせてくれるなよ」
「そんなこと言ったって無駄ですぅ。絆されませんから」
「shit..........着替えなさい、いい子だから」
「やっ!!!!!」
「……頼むから着替えてくれ」
「お断りします」
私は憮然として、下から赤井さんを睨みつける。すると赤井さんが、また、「oh my god....」と呟く。今日の赤井さんはどうかしている。
「……キティ、いい子だから。頼む」
赤井さんが、私のことをキティなんて呼ぶのは初めてのことだ。
眉を寄せ、祈るようにこちらを見つめている。
……やっぱり、完全に、子供扱いされている。
私はふん、と鼻を鳴らして、思いっきり赤井さんにあっかんべーをした。
私だってもう17歳。
あと一年すれば結婚だってできる。
黒いタイトドレスだって、着こなせるもん。
●
コナンside
今日は園子の招待で、鈴木系の誕生日パーティに呼ばれている。
誕生日パーティと言っても、ちょっとした財界の社交場のような趣きで、大物政治家やコメンテーター、芸能人などの顔ぶれもちらほらと目立つ。
蘭におっちゃん、あと世良と安室さん。
呼ばれているのは、あと、赤井さんとAのはずだ。
もっとも二人はまだ到着しておらず、蘭と世良と園子は「Aちゃんはどんなドレスで来るのかな〜」などと、女子らしい会話を繰り広げている。
そうこうしている間に、パーティ会場の入り口の扉から、日本人ばなれした背の高い見慣れたシルエットが、現れた。
「あ、昴さんー!」
園子が手を振る。
昴さんも、笑顔で手を振るが、どこか顔が強張っていると感じるのは俺だけだろうか?
しかしその理由は、すぐに分かった。
昴さんの後から影のように付き従ってくる女性________漆黒の、タイトドレスに身を包んだ………
え、あれって………
「「「Aさん!!!????」」」
俺たち全員は一斉に揃ってさけび、俺と安室さんとおっちゃんは、持っていたワイングラスを床に落とした。
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やっち(プロフ) - 更新お待ちしてます (2022年4月22日 11時) (レス) @page23 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
みー - 主人公ちゃんも赤井さんも魅力的で何度も読み返しちゃいます、、いつかまた戻って更新されてるの楽しみにしてますね! (2021年8月31日 20時) (レス) id: fa7939d4a9 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 面白かったです。更新楽しみにしています!!! (2021年6月2日 2時) (レス) id: 3c947ce476 (このIDを非表示/違反報告)
ふわ - めっちゃくちゃおもしろかったです! (2021年4月23日 17時) (レス) id: 1d6a9bd8f3 (このIDを非表示/違反報告)
キサキ(プロフ) - 面白くて何度も戻ってきて読んじゃいます、更新お待ちしております頑張ってください!!! (2020年10月20日 10時) (レス) id: a8bb3b0a09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2019年9月30日 12時