【wrwrd】強さを教えて【zm】 (ページ23)

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「やってオスマンさんのこと馬鹿にすんねんもん…オスマンさんはすごいのに…」

「あー…もう、君たちは素直に怒られてきなさい」

「嫌や！エミさん匿って！」

「チーノくん往生際悪いで！」

「じゃあエミさんに言われてやったって言ったる」

「ショッピくんは俺を巻き込まんといて？！」

まるでコントのような掛け合いだが、ショッピとチーノの猛攻に巻き込まれまいと抵抗するエーミールは必死である。
今エーミールが巻き込まれれば漏れなくAも巻き込まれてしまうのは明白なため、そうすると自分までトントンやゾムに怒られてしまう。
暫く三人の押し引きが続いたが、外が騒がしくなったあたりでショッピとチーノはガタリと音を立てて立ち上がり、ショッピはエーミールのネクタイを、チーノはAの手をそっと掴んで立ち上がらせた。

「待て待て待て！せめてA様は…！」

「もう遅いて！行くでエミさん！」

チーノの掛け声に、四人は一斉に駆け出し(内二人は引きずられるように)書庫の裏口から逃げ出した。
その瞬間トントンとコネシマの「あいつらどこや！」という声が聞こえてきたため、元凶の二人は身震いしながらも人通りの少ない廊下を通って、時には物陰に身を隠しながら逃げ回る様子にAの頭の中には一つの疑問が浮かんでいた。

これは、所謂内ゲバに入ってしまうのでは。

Aが内ゲバに参加できる条件として、大前提にゾムの存在があることを思い出し、Aは手を引くチーノに控えめに声をかけた。

「あの、これは内ゲバに入るのでしょうか」

「え？うーん、まあ鬼ごっこみたいなもんやし、そうかも」

「えっと、実はこの前ゾムさんがいない時に私はそういったことに関わらないように言われておりまして…」

「へっ？」

「恐らくですけど、そういう意味でもお二人はトントンさんに怒られてしまうのでは…」

知らなかったとはいえ、そもそも逃げ回る事態を作った元凶二人の自業自得であるとエーミールは話を聞きながらため息をついた。
これで自分もトントンに怒られる理由ができてしまった。
Aの言葉に数秒沈黙の後。

「…ショッピくん」

「…チーノさん」

声をかけ、目を合わせる二人は互いに大きく頷いた。

「「絶対に逃げ切る」」

「なんでそうなるんや？！」

エーミールの絶叫はその通りだろう。
敢えて茨の道を進もうとする二人の強い意志に逆らえず、Aはただただ困惑から二人とエーミールを交互に見ることしかできなかった。