【wrwrd】強さを教えて【zm】 (ページ21)

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Aが内ゲバに初参加してから数週間。
ゾムが任務でいないこの日、Aはエーミールから借りていた書庫の本を返却すべくエーミールの私室に赴くとAにとって見知らぬ人が二人もエーミール部屋を占拠していた。
部屋主であるエーミールをソファの片隅に追いやり、2人は堂々とお茶とお茶菓子を楽しんでいることから占拠といっても差し支えないだろう。
Aは思わず入ったドア付近で立ち止まり、困惑から首を傾げるとAに気づいたエーミールが立ち上がってAをエスコートしながら見知らぬ二人とは向かいのソファに案内して自分もAの隣に座った。

「もしお時間よろしければ一緒に如何ですか？」

「えっと、はい…ぜひご相伴にあずからせていただきたいですが」

そう言ってちらりと視線を向けた先に気づいたエーミールは「ああ！」と声を上げて嬉しそうに向かいに座る二人をAに紹介し始めた。

「そういえばA様はお二人に会うのは初めてですよね、二人とも任務で別々に遠征に行っていましたから。右からショッピくんとチーノくんです。ショッピくんはコネシマさんの後輩で、チーノくんはトントンさんが故郷からスカウトしてきて二人ともまだ若いですが優秀な幹部なんですよ」

「そりゃエミさんと比べたら若いやろな」

「ショッピ、言うたらアカンけどその通りや」

眠たげで感情が読めない藤紫の瞳と、瓶底眼鏡の奥から好奇心が見え隠れする蜜柑色の瞳が同時にAを見つめる。
見定められていると気づいたAは社交用にふわりと笑んで先制した。

「初めまして、X国より友好のために参りましたAと申します。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません」

貴族故にどう見られるかを分かっている綺麗な笑みに、ショッピもチーノも一瞬だけ見とれてしまったがすぐに視線でお互いアイコンタクトを取ってAに頷いた。

「どうも、ショッピっす」

「初めまして、チーノです。いやぁ、帰ってきた時に他国の王族の方がいらっしゃるとは聞いてましたけどこんなにお綺麗な方とは思わなかったです」

無表情で言葉少ないショッピに対し、笑みながらAを褒めるチーノにAは二人がまだ自分を見定めている最中の雰囲気を感じ取った。
微かに探るようなショッピの寡黙な瞳は少しだけAとエーミールを交互に観察し、好奇心からかAのみを見つめるチーノは一度言葉を切ってAの出方を伺うようにほんの少しだけ顔を後ろに引いた。