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吉沢くんにまで言われると思っていなかった。
その言葉に、私は息を呑んでいた。



『…どこら辺が?』


「俺とか隆とか、バスケ部の奴ら名前で呼ばなくなってたり。先生の笑顔が固いところとか」


『……』


「ねぇ、先生。辛いことでもあったの?」



…なんで。

なんで私のことがそこまで分かるのか、純粋に疑問だった。

思えば、彼は高校生の頃からそうだった。
私のほんの些細な変化に気付いて、何かあった?と言葉をかけて心配する。



『…言えないよ』



聞こえるか分からない位の声でそう言った。
でもちゃんと届いていたようで、そっか、と何事も無かったかのように振る舞う。

変に鋭いところが彼に似ていて困る。

何故か潤んだ視界で、力無く笑った。



.



その人には、二年間片思いをしていた。

臆病な俺は学生の頃に告白するなんて出来なくて、でもどうせ生徒なんて相手にされる訳ないと言い訳のようにそう言い聞かせて。

三月になって、俺たちは呆気なく卒業した。

俺はきっとまた違う人を好きになって、この気持ちは忘れていくんだと思ってた。



「A先生、久しぶり」


『吉沢くん。久しぶり!』



A先生、なんて懐かしい呼び方をしたら、彼女は俺のことを吉沢くんと言って笑った。

違っていた。
俺の記憶の中の先生と、所々が。

他の人から見ても分からないような違いだと思うのに、
見つけた小さな違和感が、チクチクと針のように胸に刺さっていく。

自分でもこんなに苦しくなる理由が分からない。



『…言えないよ』



先生が何も話してくれないのが何故こんなに辛いのか。

それはきっと、まだ先生のことが好きだから。



「…そっか」



俺の好きな人は、別人のように変わっていた。

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那奈(プロフ) - 続きがめっちゃ気になる!!大変だと思いますが更新頑張ってください!! (2020年4月16日 15時) (レス) id: 4a3fdbf345 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年4月7日 18時

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