マンハッタン

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「先輩！今日ご飯行きません？」









「あー…ごめん、今日はちょっと」









後輩の向井くんの誘いを断るのも何度目だろう。









週の半分は私の家にいる翔太のせいで好きに出掛ける事も出来ない。









「もー、いつになったら行ってくれるんすか〜」









私の部署には同期はいるものの私たちが一番下っ端だったため、半年前関西から移動でやって来て異様に懐いてくれている向井くんは私にとって可愛い大事な後輩なのだ。









そんな向井くんの誘いを断るなんて毎度胸が痛い。









「もしかして、彼氏？」









そうだと言えたらどんなに良いだろう。









どうせ願った所で叶うわけないのだから、別に翔太に振り回されなくたっていいはずだ。









そろそろ向井くんにも構ってあげないと可哀想だなと思いながらある提案が頭に浮かぶ。









「向井くん、うち来る？」









「えっ？」









もしかしたら今日は来ないかもしれないし、翔太が来たとしても一緒にご飯を食べればいいだけだ。









「ほんまに言うてます？行ってもええんですか？」









「うん、向井くんが良ければ」









「行きたいです！Aさんのご飯食べれるんすよね？最高やん！」









ルンルン気分で自分の仕事に戻る向井くんを見ながら可愛いなぁなんて思う。









結局翔太の事を一番に考えている自分に呆れるが、向井くんの可愛い笑顔を見れた事だしまぁいいかな、なんて。









ご飯何にしようかな、と考えながら私も仕事に戻った。









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