情けない ページ38
緑谷side
Aちゃんとかっちゃんの戦いが終わった直後、僕らのいる観客席では、さっきまでの戦いについてを話していた。
｢Aちゃん、悔しいな...｣
｢てっきり万能の圧勝だと思ったわ俺｣
｢何か調子悪そうだったな万能。てか、爆豪の怒りっぷりがやべぇなアレ｣
｢万能さん、耳が聞こえないとおっしゃっていましたけど...大丈夫でしょうか｣
僕は、黙々とさっきの試合について考えていた。
Aちゃん、何をそんなに迷ってるんだよ...
今すぐにでも、彼女の所に行って、どうしたんだと問いただしたかった。
が、聞いたところで彼女は答えてくれないだろう。余計に、彼女が何も話せなくなってしまう。
長年一緒にいたからか、何となくそれが分かった。
今行っても、多分逆効果だ。
聞くにしても、今じゃない。
本当に、自分が情けなくてしょうがなかった。
他の皆は、Aちゃんのキャパによる影響で全力が出せず、かっちゃんがAちゃんに勝ったと思ってる。
けど、それは違うと、僕は気づいていた。
Aちゃんは、自分からわざと負けたんだ。
だから、かっちゃんの怒っている理由にも察しがついていた。
Aちゃんが本気でやらなかったことについてが原因だろう。
彼女の感覚のことも心配だけれど、それはリカバリーガールがどうにかしてくれるはず。
だけど今は、彼女の暗い表情が、僕はとても気になっていた。
けれど、今はそれを考えていても仕方がない。
僕は切り替えて、次の決勝についてを話題に出した。
｢あの二人が...どうなるんだろう｣
｢しっかり見てリベンジだな！｣
すると、ヴヴヴヴという音に合わせて、飯田くんが震動してギョッとしてしまった。
｢電話だ｣
｢電話か｣
飯田くんが席を立っていった。
｢もしもし、負けてしまいました、母さん。ふがいないです...｣
『違うの！その事じゃなくて...ごめんなさいね。天哉落ち着いて聞いて...！
天晴が......兄さんが
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作者名：夢桜 | 作成日時：2019年3月20日 20時
