全力で ページ27
緑谷side
｢SMAASSH！｣
もう、右手全滅...！！
『轟、緑谷のパワーに怯むことなく近接へ！！』
｢ちくしょっ...！｣
轟くんが近づき、上から僕に向かって攻撃した。けど、間一髪で避けることが出来た。
｢っぶなっ！｣
僕の態勢が揺らいだのを狙って、僕に向かって氷結を仕掛ける轟くん。ダメだ近っ...くそっ！！
僕は勢い余って、左腕まるごと使って氷を破壊した。
｢...さっきより随分高威力だな｣
ッ...！
｢近づくなってか｣
個性だけじゃない。判断力、応用力、機動力。全ての能力が...強い___！！
｢守って逃げるだけでボロボロじゃねぇか｣
あれ...？
そして僕は違和感に気づいた。
___震え...！？...そういうことか！？
......ちくしょう。
｢悪かったな、ありがとう緑谷。おかげで...やつの顔が曇った。その両手じゃもう戦いにはならねぇだろ。終わりにしよう｣
『圧倒的に攻め続けた轟！！とどめの氷結を___...』
｢どこ見てるんだ...！｣ SMASH！！
僕はまた、壊れた指で氷結を防ぐ。痛みが更に増すのを感じる。でも...
負けるもんか！！
｢ぐっ...！てめぇ...何でそこまで...｣
｢震えてるよ轟くん。"個性"だって身体機能の一つだ。君自身、冷気に耐えられる限度があるんだろう...！？で、それって、左側の熱を使えば解決できるもんなんじゃないのか...？｣
轟くんが目を見開く。
｢皆...本気でやってる。勝って、目標に近づくために......っ一番になるために！
半分の力で勝つ！？まだ僕は、君に傷一つつけられちゃいないぞ！
全力でかかって来い！！｣
皆、必死なんだ。なのに半分だけで勝つなんて...納得いくか！
｢何の...つもりだ｣
轟くんの目付きが変わった。その表情は、さっきよりも険しい。
僕は、この時はただ無我夢中だった。
観客席で僕たちを見ていた彼女が、この言葉によって揺らいでしまうのを、僕は知らなかった。
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作者名：夢桜 | 作成日時：2019年3月20日 20時
