精一杯のエール ページ21
｢やっほー、麗日さん｣
そう言って、私は控え室に顔を出した。
あ、デクと飯田くんもいたんだ。
｢Aちゃん！...っと、一回戦おめでとう｣
｢麗日さん...顔が麗らかじゃないよ｣
表情が硬いを通り越して、なんか変だった。←
｢ハッ、ご、ごめん...｣
｢もうすぐだね。麗日さんの試合｣
｢しかしまぁ、さすがに爆豪くんも女性相手に全力で爆発は...｣
｢｢するね｣｣
私とデクの意見が一致して声が揃う。
かっちゃんが手加減なんて...地球がひっくり返るレベルにありえない。←
｢皆、夢の為にここで一番になろうとしてる。かっちゃんでなくとも手加減なんて考えないよ。それに...｣
デクがさっきよりも真剣な、悟りを開いたかのような顔で、
｢Aちゃんにまで容赦ない時点でもう、絶対的に全力でやるね｣
｢｢確かに...｣｣←
え、何故にそこで納得するのお二人とも...
心底、意味不明だと訴えた顔でいると、そんな私を見て麗日さんが、
｢Aちゃんって、そういうのには超疎いよね。デクくんがいるから、あんま気にしてないのかもしんないけど。
あんなあからさまなのに...｣
え、何が？麗日さんドユコト？？
飯田くんめっちゃ頷いてるし。
なんでデクはそこでため息をするのさ？
え？？
そんな置いてけぼりの私をスルーして、デクは話を戻す。
ちょっと？？←
｢僕は麗日さんにたくさん助けられた。だから、少しでも助けになればと思って...麗日さんの"個性"でかっちゃんに対抗する策。付け焼き刃だけど...考えてきた！｣
そう言って取り出したのは、いつものヒーローノート。
｢おお！麗日くん、やったじゃないか！！｣
｢ありがとうデクくん。...でも、いい｣
｢え......｣
｢デクくんは凄い！どんどん凄いとこ見えてくる。騎馬戦の時...仲良い人組んだ方がやりやすいって思ってたけど、今思えばデクくんに頼ろうとしてたんかもしれない。だから飯田くんが『挑戦する！』って言ってて本当はちょっと恥ずかしくなった。
だから、いい！皆将来に向けて頑張ってる！そんなら皆ライバルなんだよね...だから、
決勝で会おうぜ！｣
その手は、震えていた。
麗日さんは、強いなぁ。
今の私が、そんな彼女に伝えられる精一杯のエール。
｢麗日さん。かっちゃんを、ギャフンと言わせてね｣
｢！...Aちゃんは、強いね｣
麗らかな顔でそう言った彼女は、そのまま控え室から出ていった。
けどね、麗日さん。違うんだよ。
｢私は、弱いよ......｣
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作者名：夢桜 | 作成日時：2019年3月20日 20時
