双子の人生 (ページ10)

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教室内１ページ10

(ー…帰っていい？)
(だーめーや。)
「おい、委員長。何だよそいつら？」
「転入生の佐倉蜜柑さんと佐倉Aさんだよ。」
蜜柑たちを見てそう聞いてくる男の子に委員長が答える。その男の子は浮遊力を持っているようで空中に浮いていた。そして、副担任が入ってきて二人の自己紹介が始まる。
「ということで、おともだちが２名やってきました！」
「佐倉蜜柑です！こっちは妹のA。どうぞよろし…「おともだちとか言ってんじゃねーよ。バーカ。」
その言葉と共に副担任の元へとゴミが投げつけられる。蜜柑は僅かに口元が下へと下がり、Aは不機嫌そうに眉をぴくりと下げる。
だが、それも一瞬の事だ。二人の表情は既に元に戻っていた
「蜜柑、A。ここでは私たち、一切他人ってことでよろしくね。ー私、今年の優等生賞狙ってるから。色々あると思うけど、自分達の力で頑張ってね」
教室に入る前、蛍にそう言われたことを思い出した二人はこの状況ならそうだろうなと納得した。
「となりよろしくなー。」
「「あ。」」
マンガで顔を覆って寝ていた少年に挨拶する。その少年がマンガを取り、驚いた蜜柑。二人の声がハモる。
なんと、応接室で会った棗だった。
「ーお前…。」
「さっきぶりやね。」
棗の警戒の目とは反対に、蜜柑の顔には笑顔が浮かんでいた。
「……。」
Aは蜜柑と棗の様子をじっと観察し、いつでも動けるように準備する。
「ー…お前ら、アリスはなんだ？」
「教えんといけない理由でもあるん？」
そう言って蜜柑は挑発的に笑った。
「おい、お前。何棗さんの前で調子こいた口してんだ。」
念力のアリスで持ち上げられた蜜柑。
「や、やめてよみんなかよわい女の子になんてことするんだっっ。」
「あら、やめる事ないわよ」
「正田さん…。」
「さっきからアリスだと思って見てれば、何この子。優しすぎるくらいよ。ねえ、棗君！」
「ー…下ろせ。」
パーマ女の正田がそう言う優しい所も棗君の魅力だと思うのと甘ったるい声で言っていた。
蜜柑は、棗の一言で空中から地面へと下ろされた。