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だってほら、この人、
俺たちのめちゃくちゃ楽しかったけど、
すんごく大変で終わりがなくて、
ほんとマジ永遠のような長い時間のワールドツアーを支えてくれた、
スタッフのひとりなわけだし。
この酔っ払ってんのも、打ち上げまで行って燃え尽きた後のやつ、なんだろうし。
というか、この人、
この様子だと俺たちが誰かも分からないみたいだ。
ジンヒョンもそう思ったのか、緊張でいかっていた肩が落ちて、通常の広すぎるだけの肩幅に戻っている。
SJ「て言うか、風邪?すごい声なんだけど」
ジンヒョン、ナイス。
俺も気になってました。
すると、彼女は何かのスイッチを押されたのか
『風邪じゃありません、地声です。生まれた時からこの声です』
とスルスルっと一息で言い切って、力尽きたように、はふう、と脱力した。
一瞬の沈黙のち、ジンヒョンがあの笑い声を爆発させて、俺も思わず笑ってしまった。
具合悪いだけなんだろうけど、最後にがくっ、てなるとこが最高によかった。
SJ「あひゃあひゃあひゃ、面白いじゃん」
顔も耳も真っ赤にしてジンヒョンが言う。
彼女はと言うと、起き上がりたいのかもぞもぞと手足を動かしている。
なんか、
寝返りができないくらいの、
か弱い赤ちゃんみたいだと思ってしまった。
さっきからこの人、明日俺の庇護欲押してくるなあ。
そんな困り切った顔されたら、
放って置けないでしょ。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時