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『私、相手の方が、どんな立場の人なのか、わかっているつもりです』
びく、と肩がはねた。
相手がメンバーだって、分かってる?
全部を覚えてないわけじゃないってこと?
セジンヒョンに、誰だったか聞いて!て言いたいけど、ヒョンはAの言葉に何かを考えているようで、俺を見ようともしない。
『…後々のことを考えると、お互いために何があったか、ちゃんとはっきりさせておいたほうが良いと思います』
俺の、もうこの件はすっかり解決してるって気持ちと、電話の向こうのAの深刻な様子との温度差がすごい。
そんなに落ち込まなくて良いよ、もう大丈夫だよって伝えたいのに、セジンヒョンはAにそんな言葉をかけてくれない。
S「承知しました。…それ、僕が読んでも良いんですか?」
『良いんです』
俺を置いてきぼりにして、二人は何か納得したように合意して、話はそれで終わりかと思った。
『あと。これは言い訳にしか過ぎないので、本当に申し訳ないと思っているんですが…』
Aが、急に、低めのトーンで切り出したかと思うと、
『現場をそのままにして出てきてしまってごめんなさい。事後を任せるなんて、あるまじきことだとお詫びします。…私自身そこまで出血があったなんて、暗くて、本当に、わからなかったんです』
と、一気に謝罪してきた。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時