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長い沈黙の後、Aが大きく息を吸うのが聞こえた。
『まず、誤解がないようにお伝えします。昨夜の…行為は、全て合意の上でのことです』
ヒュ、と無意識に息を飲んでしまった。
行為とか、合意とか、本当に取り調べみたいだ。
そこに温もりは感じられない。
けれど、その後の言葉に俺たちは、言葉を無くしてしまった。
『私の流血に関しては…まあ、その。
…初体験でしたので』
え
はつ…
三人で顔を見合わせて、
(ああー、血!だからか!)
と納得した。
でもそれから、ええ?と首を傾げて、
SJ(あんな血、でる?俺、バージンがどんなもんかよくわかんないですけど)
と口パクでジンヒョンがセジンヒョンに聞いて、セジンヒョンは、さあ?と言うように肩をすくませる。
俺はというと…
足元から顎まであっついお湯に入ったみたいに、真っ赤になっていたと思う。
はじめてなんて、聞いてない。
聞いてたら、もっと、やりようがあった。
あんな乱暴なこともしなかったし、
あれも、これも、
ああ、俺、なんてこと。
生傷がある場所に、なんてことを。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時