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セジンヒョンの様子だけをじっと眺め続けていたけど、アリンヌナにもう一度電話した後、またAにかけ直しているのか、しばらくスマホを耳に当ててている。
それから、やっとほっとしたように少し口角を上げたので、俺は思わず息を詰めた。
繋がった?
セジンヒョンは俺たちに、人差し指を口元に当てることで喋るな、と指示すると、スマホのスピーカーをオンにしてくれていた。
S「ヨボセヨ、イ・Aさんですか?僕はBTSのマネージャー、キム・セジンです」
ヒョンが声をかけると、電話の向こうが息を飲むのが分かった。
それから
『イ・Aですけど、え…と、キムさん?私に?何のご用でしょうか…』
Aの、
しゃがれて、
ひどい喉風邪をこじらせたみたいな声が聞こえて。
俺は、身体の力が抜けそうになった。
普通に、
話ができるくらいには、
元気じゃん…
良かった、って声に出さずに呟くと、トン、と脇腹に何かが当たる。
顔を向けると、ジンヒョンが隣りに座って、俺にもう一度自分のひじを当ててきた。
SJ(良かったな、とりあえず無事じゃん)
と俺にしか聞こえない声で囁くのに、無言で何度も頷いた。
そんな俺たちをに目を向けつつ、セジンヒョンはAに淡々と話しかけている。
S「Aさん、今どこにいますか?」
『…空港です』
思わず、ジンヒョンとシンクロしたみたいに同じタイミングで振り返って、スマホを見つめた。
空港!?
病院じゃなくて?
なんで、そんなところに。
頭にハテナがたくさん湧いて、クルクル回っている気分。
見ると、ジンヒョンも眉を寄せて、首を傾げている。
そりゃそうだ。
ジンヒョンだって、あの血まみれのベッドを見た後だから。
あの量の血を流したはずの人が、飛行機に乗るの?
死なない?
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時