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S「…………………………………」
「……………」
ジンヒョンが呼び出したセジンヒョンは、大体の話を電話で聞いていたから、部屋に入っても大騒ぎすることは無かった。
S「ジョングク…」
一度だけ名前を呼ばれて、びくっと肩が跳ねてしまった。
セジンヒョンが来てから、俺はずっと顔があげられない。
ヒョンの顔を見れない。
声を出そうとしたけど、喉がカラカラで声が出なくて、何度か唾を飲み込んで、やっと
「はい、ヒョン」
と返事ができた。
その声を聞いて、セジンヒョンは眉をひそめてから冷蔵庫に向かうと、ホテルがサービスで置いてあるミネラルウォーターを取り出して、俺に差し出した。
S「ちゃんと、喉のケアしとけ。こんな乾燥した部屋で、気を付けなきゃ駄目だろ」
ぶわ、と涙腺が崩壊しそうになって、俺は唇を噛んでこらえた。
セジンヒョンが俺に優しくしてくれたからって、許されたわけじゃない。
まだ何も始まってないし、俺は泣く資格がない。
「…はい、ヒョン。気を付けます」
俺は顔を上げて、まっすぐにセジンヒョンを見た。
「こんな事になって、ごめんなさい。よろしくお願いします」
ジンヒョンに謝りながら、俺はセジンヒョンになんて言ったら良いかずっと考えてた。
結局、こんな事務的な言葉しか思いつかなかったけど、泣いて取り乱すよりはずっとマシだったと思う。
それから、むしろ大声で怒られた方がまし、ってくらい無言で俺を見つめた後、セジンヒョンはゆっくりと首を振って、ちらりと腕時計を見た。
それから、部屋を移ろう、と外に出るよう促された。
セジンヒョンがドアにPlease Don't Disturbカードを下げて、フロントにアリンヌナの部屋の連泊を依頼して、
S「時間が無いから、その人を探す事から手をつけるよ」
エレベーターの方向に歩きながら、そう言った。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時