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喉の痛みで目が覚めて、唸りながら、隣にいるはずの人を探して手を伸ばしたのに、触れるのは冷たいシーツの感触だけだった。
「…A?」
半分どころかほとんど寝ていたけど、Aがどこにいるのか分からなくて、名前を呼ぶけど、返事がない。
仕方なく起きて、周りを見渡したけど、やっぱり誰もいない。
カーテンから漏れる朝日が柔らかくて、まだ相当早い時間なんだろうと思う。
トイレかな、と立ち上がってノックするけど、返事がない。
ドアノブを回したら、カギなんてかかってなくて、中にAはいない。
て言うか、
いない。
ざ、っと血の気が引く音が聞こえた。
慌てて電気をつけて、改めて部屋を見る。
そこにAの物らしいキャリーケースやバッグがあるのをみて、とりあえずちょっと外出してるだけなのかと、ほっとして頭を落とす。
…そしたら。
腹とか、
腿とか、
あちこちにこびりついた、
赤黒い何かが見えた。
「えっ…」
これ、何だ。
なんでこんなの、
これ。
慌てて、Aと俺が寝ていたベッドの、布団をはねのけた。
「…!!!!」
シーツが、スプラッタホラーのようだった。
固まって酸化したその色は、
俺の身体についているものと、
同じ赤い色だった。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時