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衝動的に、俺の手に添えられただけの彼女の手を、もう片方の手で掴んで、ぎゅっと握った。
『ん、うっ!』
とたんに上がった、明らかな喘ぎ声。
それと一緒に、
俺の体の中にある弦を、
力任せに弾かれたような、
強く響く、
甘い衝撃。
声を出さなかったは、
息が詰まって出なかっただけだ。
だって、
その感覚は、
まるっきり、
快感そのもの、
だったから。
声が出てたら、
それは、
きっと、
すごく、
やばい時のやつ。
感覚に気を取られてると、ばっと思いの外強い力で彼女が俺の手を払いのけた。
みると、俺から逃げるように、のけぞるように体をくねらせている。
「…なに、今の」
自分でも、上ずった声だったと思う。
手を握っただけだ。
なのに、まるで性 感帯をダイレクトになぞられたような感覚だった。
彼女を見ると、息を乱し肩を震わせて、Tシャツの胸元を握りしめて、何かをじっとこらえていた。
ぞく、と。
その苦しそうにゆがめられた、
欲 情が丸わかりの表情に、
煽られた。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時