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『…ほんと、申し訳ありません』





エレベーターを待ってる間、眠っていると思っていた背中の方からかすかな声が聞こえた。

存在ごと消え入りそうな、申し訳無さが溢れ出ている声に、俺は

「ちがうでしょ」

と返事を返した。






どうしようもない失敗をして、

それをフォローしてくれる人がいたら、

その人に伝える言葉は、




謝罪の言葉じゃ無い。





そう、ヒョンたちが教えてくれた。








「ありがとう、でしょ?」









『…ありがとう、ございます…』







震えるような声は、
感謝の気持ちに溢れていた。


それは俺の胸を、
ちょっと暖かくするのに十分だったから、
思わず口角が上がるのを感じた。



「ん」



よいしょ、と下がってきた体を抱え直す。





さっきはあんなに重いと思ったのに。





今は全然、
軽いくらいだと思った。

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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時

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