物語のタイトルは ページ40
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月明かりが照らす静かな屋敷に、
ずりずりと音が響く。
重たいものが床と擦れるように、ずりずりと。
不気味な音の正体は、
引きずられた死体だった。
それから漏れる赤黒い血が、
それが辿ってきた道を示している。
死体の足首を乱雑に掴み
引きずり歩く男の様子はご機嫌そのものだ。
「今日も楽しかったぁ、どんなお話にしようかな」
と、鼻歌交じりに呟きながら足を進めている。
屋敷の真ん中にある大きなホール。
そこにずらりと並べられた椅子まで死体を運び、
よいしょ、と持ち上げぐでんと座らせた。
ふぅ、とおでこの汗をぬぐい、
満足げに並べられた死体を眺める。
どうやら先程運んだのが、
最後の一体だったようだ。
男は並べたものを満足気に眺めると、
にんまりと笑い中心に座っている
目を閉じた人形のような風貌の死体に近づいた。
そして、愛おしそうに
その死体のふわふわの金色の髪を整え、
すべすべの白い頬を撫でる。
赤「藤井くん？やっけ？
ちゃーんと神ちゃんの隣にしてあげたで。
お気に入りやったもんな」
「あ、あと小瀧くんも！丁寧に殺してあったから、
多分そうやろ？ほんま面食いやなぁ」と、
反応のない死体に向かって話しかけ続ける。
一通り話し満足したのか、
男はるんるんと弾むように
少し離れたところに置いてあるカメラに向かった。
パシャ、パシャと、
綺麗に並べられた死体をフラッシュが照らす。
どれもこれも表情は青白く、
飛び散った赤色が綺麗に映えている。
かなり古いカメラだと見受けられるが、
男は難なくそれを操作した。
その手つきは手馴れていて、
今までに何枚も撮ってきたであろうと
容易に想像できる。
しばらくすると、カメラがジーっと音を立て、
色褪せた写真を吐き出した。
出てきたのは、
全員が目を瞑った不気味な集合写真。
それはおそらく、
一夜で起きた信じがたい悲劇の証拠として
壁に飾られるのだろう。
写真を眺め、男は呟く。
赤「…神ちゃん、ほんま可愛い。
死んでても可愛い。……天使みたい」
言い終えるや否や、
男は何かを思いついたのだろう。
はっと目を開けて、
あ、そうや。と声を漏らした。
「神ちゃん、すごく良いの思いついたで」
と、男はくふくふと笑う。
真っ赤に染まった屋敷に、
男一人の声だけが響く。
次のお話のタイトルは＿＿＿＿
【血塗れ屋敷の緑の天使／完】
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豆乳もち(プロフ) - 最近『シビュラ』という曲にハマったんですけど、歌詞がどこかで見たことあるな〜って思ったら2年前くらいに読んだこの作品でした。曲を聴く前と聴いた後で読むのではまた違った面白さがありました！情景や発言に歌詞が散りばめられていて感動しました！ (7月9日 16時) (
レス) id: c565488b09 (このIDを非表示/違反報告)
梅子(プロフ) - 緑翠 @かぁさん» ありがとうございます〜〜！！どの言葉も嬉しすぎます書いて良かったです^ ^ただグロいだけじゃなくて神山さんのある種神聖な綺麗さは丁寧に書こう...！と思っていたのでドンピシャで読み取ってくださりとっても興奮していますありがとうございます！！ (2021年3月1日 11時) (レス) id: 15f3f2738e (このIDを非表示/違反報告)
緑翠 @かぁ(プロフ) - すっっっっっごい面白かったです…！！まるで一本の映画を見終わった時みたいな…。残酷ですがとても儚いような…これから赤色さんはどうするのか…とか色々気になってしまいます。素敵な作品を読ませて頂き、ありがとうございました。 (2021年2月26日 23時) (レス) id: 57d00871fa (このIDを非表示/違反報告)
梅子(プロフ) - 麗さん» ありがとうございます〜！藤井さんと�霤弔気鵑砲録修渓�なさしかありませんがそう言っていただけて嬉しいです！(笑) (2021年2月18日 16時) (レス) id: 026a6b186c (このIDを非表示/違反報告)
梅子(プロフ) - ひかるさん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます！わああ凄く嬉しいですこれからも頑張ります（ ; ; ）！！ (2021年2月18日 16時) (レス) id: 026a6b186c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅子
| 作成日時：2020年11月25日 18時
