運命の花を 阪神タイガース

縮まるキョリ ページ34

目の前には上本先輩。

って、寝起きの顔だから多分私、今、すっごい顔してるんだろなって、思ったら、

恥ずかしくなって、すぐさま顔を伏せた。


上本「えっと...ここをちょっと擦りむいちゃって...、今先生は...？」


そう言って保健室を見渡す先輩。


A「先生ならいませんよ、さっき体育館に向かったと思うんですが...」


上本「あー...すれ違っちゃったかな」


A「あの...私でよかったら手当てしますよ？」


こんなこと上本先輩のファンの人たちに知られたらどんなことになるか...

なんて、考えていたら廊下から。


「上本くん大丈夫かなー！」

「なんなら、私が手当てしてあげてもー」

「ずるいー！！」


黄色い声がどんどん近づいてくる。


上本「げっ...！」


明らかに嫌な顔をした先輩。

あぁ、優しい先輩だって、嫌なものは嫌なんだな、なんて思いながら、

保健室の鍵を内側から閉めた。


「あれ、閉まってるしー」

「えー、じゃあどこいったのかな」


なんて、去っていく人たち。


上本「ありがとうございます...！」


A「気にしないでください、でも、上本先輩でも、嫌なものってあるんだなって思いました」


上本「ははっ、あんまりちやほやされるの好きじゃないんですよね...」


A「あはは、言ってみたいです、そんな言葉」


そう言って、救急箱をあけた。

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