いとし、いとおし【煉獄杏寿郎】 (ページ31)

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「しかし、そんなに心配する必要はない！

Aはきっと良い母親になる」

「ふふっまた根拠もないのに」

そう言ってAの柔らかい髪を撫でてやると、Aは嬉しそうに顔を綻ばせる。

「私、早く杏寿郎の子どもが欲しい」

「…っ、」

数ヶ月前、拒否されたとばかりに思っていたため、まさかそんなことを言ってくれるとは思っておらず、俺はAを抱きしめる。

「…俺もだ。

俺も早く、君の子どもの顔がみたい」

「ふふっ絶対あなた似でしょうね」

煉獄家の血は随分濃いようなのでと、嬉し泣きしてしまいそうな俺の背中を、Aは優しく摩る。

そして少し離れて見つめ合うと、Aは幸せそうに笑って瞼を閉じる。

それを合図に、俺はAに触れるだけのキスを落とした。

◇

眩しい陽の光で目を覚ますと、隣には小さく寝息を立てながら眠るA。

少し布団が乱れると、Aの白肌が覗く。

このままでは風邪をひいてしまうと、俺は床に散乱した服をかきあつめ、寝ぼけたままのAを着替えさせた。

「A、朝だぞ」

布団から上半身だけを起きあげ、Aの頭を撫でながら声をかければ、すぐに長い睫毛が揺れて、少しずつ瞼が開く。

そして、俺を見て頬を染めるAは、照れ臭そうにおはようございますと小さな声で挨拶した。

◇

それから、俺たちは同じ部屋で眠るようになり、二人用の大きめの布団も買った。

「…私、杏寿郎が居なくなったら

寒くて寝られなくなってしまうかも」

「よもや！それは困ったな！」

そんな幸せな日々が続く中、

ある日突然、Aが青白い顔で体調不良を訴えた。

「少し体がだるくて」

「何、大丈夫か！！」

母上が病気で亡くなったためか、俺はその話を聞いてから、Aが心配で任務に集中できない。

「本当に少しだけ。医者に行く程でもないわ」

そう毎日同じことしか返さないAは、最近不安そうな顔を良くするようになった。

また、何か大きな悩みでも抱えているのだろか。

しかし、彼女の性格から考えて、俺には何があっても話さないだろうと悩み果てていると、蝶屋敷の存在を思い出す。

現主人である彼女ならば、薬学にも精通していると聞いたし、女同士なため安心して任せられるのではと、俺は早速、Aに蝶屋敷へ行くことを勧めた。

◇◇