相談 ページ24
・
「…あのさー煉獄さんよぉ」
「む。なんだ!」
疲れたように項垂れる宇髄は、俺の顔の目の前にビシッと人差し指を立てる。
「お前さ。
Aが将来、他の男と結婚したら、
その男とあんなことやこんなことをするんだぞ?」
「…うむ。それは許し難い」
確かに、そのような現実的なことを考えたことは無かったが、想像するだけで結構来るものがある。
「…しかし、最近Aが冷たいんだ」
「へぇ、心当たりは?」
やっと進んだ話の展開に、嬉しそうな顔をする宇髄は、またもや元気を取り戻したように相槌を打つ。
「特に心当たりはないが、
様子がおかしくなったのは
以前一緒に買い物に行ってからだ」
そう思い出しながら、事細かに過去の出来事を蘇らせていくと、その違和感はある一点に辿り着く。
「そうだ。
あの時、一緒に選んだ棒口紅を渡したくて」
「おお、やるじゃねぇか」
感心したように笑う宇髄に、贈り物には意味があるそうなので、せっかくなら意味を知ってから渡したいと思ったことをゆっくりと説明する。
「それで、他の隊士から借りた本で調べたんだが…」
「あなたにキスをしたい、だろ?」
「…!知っていたのか」
流石だなと今度は俺が宇髄に感心していると、宇髄はつまらないそうに腕を組み、それで?と続きを急かした。
「それでって、…渡しにくいだろう」
「は、お前だからってまだ渡せてねぇのか?!」
そう驚いたように俺を見る宇髄は、ガシッと勢いよく俺の肩を掴み、呆れたように額に手を当てた。
「そりゃあねぇだろ…」
◇
「次、Aに会ったら絶対渡せよ!」
お前は女心をわかっていなさ過ぎると、説教を受けること数十分。
自分がしてしまった愚かな行為を理解し、今すぐにでもAに会いに行きたいところだが、体がそれを拒もうとする。
「分かっているが、意味が」
「あ?Aとキスしたくねぇのか!」
したいに決まっているだろう。
そうムキになって言い返そうとして、俺はまた宇髄に嵌められそうになったことに気がつく。
「Aとは、昔からの仲なんだ」
そう。
昔から、ずっと住む世界が違うと無意識に諦めるようと自分に言いに聞かせていた。
だから余計、いざこの想いを伝えようとすると、なかなか行動に移すことができない。
そう心の仲で言い訳をし、俺は宇髄に別れを告げた。
◇◇
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月31日 13時