逢瀬 ページ18
◇◇
そして、宣言通り
Aと出かける約束を取り付けた俺は、再会して以来、久しぶりに会うのが楽しみで、少し早めに家を出る。
「…よもや」
少し坂を上った辺りで、すぐに見える立派な洋館の前には、少し浮いてしまう程の美しさを放つAが、着物を着て立っていた。
「おはようございます、煉獄様」
見惚れて言葉も出ない俺に対して、楽しみで気合を入れすぎてしまったなんて可愛らしいことを言う。
それに今どきの女子といったら、ほとんど洒落た洋服を着たがるというのに、着物をわざわざ選んでくれたのは、俺に合わせてくれたんじゃないかと自惚れる。
「では、行きましょうか」
そうにっこり微笑むAは、この世のものとは思えない位、俺にとって輝いて見えた。
◇
早速二人で街に出れば、商店街は凄まじいほど人で賑わっていた。
「今日は随分人が多いな」
「そうですね、あっという間にはぐれてしまいそう」
近々この街で大きな祭りがあるためだと話しながら、数人の子供が遊ぶのを見て楽しそうに笑うAは、先程から男女問わず、たくさんの人の視線を集めている。
そんなAを見て、はぐれたら危ないと手を繋ぐという行為に理由をつけた俺は、こっそりAの白い手に自分の手を伸ばす。
「あのお店、とても素敵ですね」
「…!あ、あぁ」
突然、振り向いてきたAに驚いて、持ち前の反射で手を引くと、Aは不思議そうに首を傾げる。
「…?どうかなさいましたか」
「いや!!なんでもない!!」
顔に熱が集まるのを感じながら、気にしなくて良いと必死に誤魔化していると、おかしい人ですねと言ってAはクスクスと笑う。
うむ。愛らしい
「煉獄様。
もし宜しければ、あのお店で少しお話しませんか?」
「…ん?」
不純なことを考えていた俺に対して、Aは楽しそうに洒落た外観の店を指さす。
そんなAの誘いに軽く頷けば、Aはいとも容易く俺の手を握り、弱い力で俺を引いた。
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月31日 13時