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不変と可変 ページ17







昔、君が暖かくて、優しいと羨ましがっていたモノは全て消えてしまった。






特に母上のことが大好きだったAは、どんな顔をするのかと怖くて見られないでいると、突然胸に衝撃を感じた。







「…杏寿郎」



ふと昔の呼び方で呼ばれたと思えば、いきなり背中に手を回され、潤いの滲む声で話すAは、俺の事を力いっぱい抱きしめる。









「あなたが辛い時、一緒にいてあげられなくて

ごめんなさい」


「っ、」





その瞬間、俺は雷に打たれたような衝撃を受けた。








「…君が気にすることではない」



母上が亡くなって辛いのは君も同じだろう?と、俺が優しく頭を撫でてやると、泣き顔を見られたくないからか、Aは顔を俺の胸に押し付けた。



















「ははっ随分泣き虫になったな」


「…」



半刻は泣いていたであろうAを、からかうように話しかけると、右手をグーに握ってトンと俺の胸を殴る。



そんなにAに加虐心が煽られ、無理矢理こちらに向かせようとすれば、軽く手を払われてしまう。







「ふっ頑固なところは変わらないな!」



そう声を上げて笑う俺を、恨めしそうに見るAの姿は、月の光も相まって凄く幻想的に見える。



そんな場違いなことを俺が考えていることを悟ったのか、Aは呆れたように俺から離れて歩き出した。








「よもや!からかい過ぎたか!」


「…あなたは凄く意地悪になったわね」



















「煉獄様。

わざわざ送ってくださり、ありがとうございました」



家の門の前に着くと、先程の砕けた態度とは異なり、改まって別れを告げるAは、目を伏せて笑う。









「ああ、別に構わない!


…が、もう名前で呼んではくれないのか?」




いきなり変わった名前の呼び方に、俺がそう眉を下げて聞けば、Aはポカンとした顔で俺を見る。







「だから、杏寿郎と」


「私ももう十五。

さすがに、昔のようにとはいきませんよ」



そう言って悲しそうに微笑むAは、もうお互い子供ではないと俺を突き放そうとする。




確かに、昔のようにとはいかないだろう。

何より、俺とAの間には3年間も空白がある。








「うむ!では、それについては諦めよう!」



そう呆気なく引き下がる俺を見て、残念そうに背中を向けるAは、ゆっくり門を潜る。







「その代わり、

また君に会いに来てもいいだろうか!」








◇◇

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月31日 13時

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