第十六話 ページ19
夢を見た。これは、いつの夢だろうか。
四年生と、六年生と、乱・きり・しんがいる。
嗚呼、思い出した。四年生の実習でリーダーを決めた時の夢だ。
“お前たちは3.5年生じゃー！”
思わずふっと笑いが溢れた。3.5年生って、そんな無茶苦茶な。確かあの後、守一郎が私に話を聞きにきたんだ。
“どうしたら先輩みたいな頼れるリーダーになれるんですか？”
“え？”
“A先輩は六年生の先輩方をいつもまとめてますよね？俺も先輩みたいな人だったら、リーダーになれたんですかね？”
何故そんなにリーダーを務めたいのかと聞くと、楽しそうだから、と返ってきた。話によると、三木ヱ門に色々とリーダーの仕事内容を聞いたらしい。
“良いリーダーは成ろうとして成れるものではないですよ。作戦を考えると簡単に言いますが、その作戦が失敗した場合、責任はリーダーにのしかかる。良いことばかりではないんです”
そう答えると、更に頭を悩ませてしまった。そして、「じゃあ、どうすれば先輩みたいになれますか！？」と再び質問を投げかけてきた。
“毎日鍛錬に励み、仲間のことを理解して、常に正心を忘れなければ、周りは頼ってくれるようになりますよ”
“おお！確かに、A先輩は毎日鍛錬に取り組んでますよね！”
“滝夜叉丸も、もう少しA先輩みたいだったらリーダーを任せられるのにねー”
守一郎と話していると、喜八郎が割って入ってきた。彼の手にはもちろん、踏子ちゃんが握られている。
“確かに、喜八郎の言う通りだな！滝夜叉丸より私の方がリーダーに相応しかったというわけだ。そうですよね？先輩！”
“何を！三木ヱ門より私の方がずっとリーダーに相応しいぞ！先輩もそう思いますよね？”
“貴方達はもう少し周りに足並みを揃える必要があるかもしれませんね…”
この二人は優秀だったが、この自惚れの強さはいただけなかった。それ以外は、優秀で真面目で後輩思いで、非の打ち所も無かったのではないだろうか。
“俺もAちゃんみたいに、皆をまとめられるよう次の実習は頑張るね〜”
タカ丸は多少遅れていたが、順応するのは早かった。努力を惜しまず、私や他の上級生に質問していたのをよく見かけていた。
彼らが無事に卒業出来ていたら、どんな大人になっていたんだろう。
そこまで考えて、夢から覚める。空はもう明るかった。
私の目からは、大粒の涙がボロボロと溢れていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 132人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
六時の虹(プロフ) - もんちゃんさん» ありがとうございます！この夢主ちゃんやや捻くれてるというか、クセがあると思ってたのでそういってもらえると嬉しいです！ (2022年12月11日 20時) (
レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
もんちゃん - めっちゃ夢主ちゃん好きです！！ (2022年12月8日 20時) (レス) @page46 id: a2e7ecf5df (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - 黒砂糖パフェさん» ありがとうございます！忍たまキャラは近いうちに必ず出すので、それまでこの小説に付き合っていただければ幸いです！ (2022年12月6日 22時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
黒砂糖パフェ(プロフ) - とても面白いです！早く忍たまのキャラが出てくるところを見てみたいです。頑張ってください！ (2022年12月5日 19時) (レス) @page44 id: ebc4dd80bc (このIDを非表示/違反報告)
六時の虹(プロフ) - (名前)カノンさん» コメントありがとうございます。パスワードをかけている作品は、お恥ずかしながら完全に更新が止まっているものでして…。それでもよければ、どうぞよろしくお願いします。 (2022年11月6日 23時) (レス) id: 6ed7129851 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：六時の虹 | 作成日時：2022年6月11日 17時
