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サブチャンで同居の解消を発表したその日。私はざわくんに誘われてご飯に向かった。


虫「食べ終わったらラーメン行かない?送るのってまだりょうくん家だよね?」

『ううん。てっちゃん家。だから結構遅くまで大丈夫だよ』

虫「もう引っ越しまでしちゃってるんだ」


どうぞとドアを開けてもらい、中に入る。ざわくんとよく来る個室居酒屋は、いつも通り温かくてホッとする匂いを醸していた。


虫「何にする?」

『烏龍茶かな。食べ物はざわくんが選んで』

虫「分かった」


手際良く注文を進める彼は、なんだか緊張した面持ちだった。


『どしたの』

虫「いや……このお店に2人で来るのは初めてだなぁって」

『言われてみれば、そうだね。最近はしばゆーと3人で来ること多かったもんね』


写真良い?と頼まれ、2人で数枚笑顔の画像を収める。


『ご飯来てからにすれば良かったのに』

虫「うわ、ホントじゃん」


謎に焦ったままTwitterへの投稿を済ませ、ざわくんはようやく一息ついた。


虫「……それにしても今日の発表、急だったね。ビックリしたよ」

『そんなに?ごめんね』


卒業の発表をした時のファンの人のような顔を見てしまうと、自然と謝罪が溢れた。ざわくんは謝ることじゃないんだけど、と断りつつ口を開く。


虫「友達と恋人ってそんな境界線引くものなのかな」

『…………えっ、ざわくん、私と恋愛の話したいの?』

虫「したくはないけど!!聞きたくないけど!!気になったから」


そんなに引っかかるような物言いはしていないつもりだったけどな。かすかに首を傾げると、それを見て取ったのか目の前の瞳が揺れた。


虫「僕は……そんなに高尚な恋愛してないんだけどさ、今の2人みたいな形から付き合うっていうのがあっても良いと思うんよね」

『うん』


続きを促すと、少し難しげな表情のままざわくんは口を開いた。


虫「別にさやりんの意見を変えようとかじゃないし、今から言うのは僕の見解だけど、りょうくんとさやりんが付き合ってもいいんじゃないかなって」

『それ、多分めちゃくちゃ気まずいよ(笑) 』

虫「そんなことないよ。さやりんが気にするほど、恋愛で崩れるような関係じゃないから」


ああ、なるほど。ざわくんが引っかかっていた点がようやく分かった。


『ありがと。大丈夫だよ。別に私、皆に気を遣ってりょうくんと付き合わない選択してる訳じゃないから』


微笑んでみせると、彼の空気が緩んだ気がした。

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作者名:蚕虫 | 作成日時:2023年10月30日 21時

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