Idol 3 (ページ39)

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『似てる？私が、お兄ちゃんと？』

と「うん。俺らが楽しそうなの見て、幸せだなあって思うんでしょ？それって、浅谷さんがご飯食べてるの見て、それだけでお腹いっぱいなお兄さんと全く一緒やん」

ビックリした。そんな観点は無かったから。

目を丸くするばかりの私に、としみつくんはオロオロし始める。

と「え？なんか変なこと言った？俺」

『ううん』

首を振り、ぽつんと呟く。

『てっちゃんには、似てないって言われ続けてたんだよね』

と「えぇ？てつやはほら、仲良い人ほど真逆のこと言って弄るクセあるし、それじゃない？」

『そうなのかな。顔も似てなくて、もしかしたら本当は血繋がってないのかと思ってたんだけど』

と「顔似てないの？」

『似てないよ。見る？』

小栁津家とのお花見の写真を開いて見せると、としみつくんは「可愛い」と笑った。

と「右の人だよね？お兄さん」

『うん』

と「俺は似てると思うけどな。口元とか、そっくりじゃん」

『……そう？』

返ってきたスマホの画面をじっと見つめる。今の私より若くて、あどけないお兄ちゃんは、大きく口を開けて笑っていた。

と「浅谷さんの笑い方とそっくりだよ」

『……こんな大口開けて笑ってる？私』

と「おおぐ……まあ、顔全部で楽しそうに笑うなって、俺は思ってた」

『そっか』

なんだか、お兄ちゃんが写っている全ての写真が、前よりずっと輝いて見える。

と「なんか良いね」

『え？』

写真から顔を上げると、としみつくんはじっと私を見つめていたようだった。

と「初めて見たもん、浅谷さんのそんな表情」

『そんなって、どんな？』

と「……ちょっとだけ不安そうな、幼い感じの顔」

そんな顔してたかな。慌てて眉間に皺を寄せて見たけれど、「もう遅いよ」と笑われた。

と「大好きなんだね、お兄さんのこと」

『大好き……うん、そうだね』

ストレートなとしみつくんの感情が刺さる。

『大好きだし、一番感謝してるし、ずっと尊敬してる……のかな。多分』

と「なんで最後多分って付けた？！お兄さん泣いちゃうよ！？」

『いや、あんま褒めすぎたら調子乗るから。お調子者だし』

と「また似てるとこあんじゃん(笑) 」

『なにそれ！私がお調子者ってこと？！』

いつの間にか、しんみりした空気は無くなっていた。こんな所まで気を遣えるなんて、本当にとしみつくんは凄い人だ。

まるで、それだけでプレゼントみたいなその言葉は、私の心を温かくした。