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りょうくんの言い分はこうだ。

自分は今のところ、彼女は居ない。

それでも、家に誰かが居て、おかえりと言ってくれる状況は今にでも欲しい。

ただ、あまりに生活リズムが狂っている職業なので、そんなのは滅多に叶いそうにない。

もし、同じような生活をしてる稀有な女の子が居ない限りは。


『…………居るね』

り「ね。今気付いた。居たわ」


まぁ、悪くないかもなぁ。てっちゃんを見てみると、別にいいんじゃないと肩を竦められた。

たしかに、りょうくんなら私を一人にしなさそうだし。一人の時間を私に奪われても苦痛を感じなさそうだ。


『これを機に、一緒に住む?』

虫「ちょちょちょ!ストップ!!それ、何も変わってないから!てつやがりょうになって、もっとタチ悪くなっただけだから!!」

り「俺、タチ悪いの?(笑) 」

虫「悪い!僕は覚えてるからな!さやりんのこと、恋愛対象だってりょうとしが言ったの!!」

り「だからって俺、そんなすぐ手出さんよ?」

虫「すぐじゃなくても絶対手を出さん約束をしろ!!」


ムキーッ!と怒るざわくんを他所に、私はてっちゃんに耳打ちした。


『修さんさ、あの性格ならりょうくんと居れば絶対手は出してこんよね?』

て「だろうね」

『てことは別に私、りょうくんの家に住んでもいいよね?』

て「いいんでない?もうずっと俺と生活してるし、ちょっとは他の世界見て来なよ」

虫「なんでそんなさやりんが戻ってくる前提なんだよ!!」


またムキーッ!だ。忙しいざわくんに声を上げて笑ってしまう。


『じゃあ、りょうくんの家に半年住んだら、ざわくんの家行こ〜っと』

虫「え、え!?それ……はダメだよ。ほら、男と2人とか……ね?」

て「嬉しそうやん」

り「彼女にチクりまーす」

虫「冗談!冗談です!!」


なんにせよ、決まりだ。私はりょうくんの家に移る。

てっちゃん以外と暮らす……言わば心機一転だ。

どうせこれから一生同じ屋根の下に居るんだから、りょうくんに彼女の居ない今だけ、社会見学をするのも悪くないだろう。


り「暮らしのこだわりとかある?」

『見ての通り』

り「なるほどね。全く無い、と(笑) 」

て「あー、強いて言えばタバコは遠くで吸ってあげんと咽るくらい」

り「俺は吸わないから関係無いね」


なるほど、快適な体験になりそうだ。


『じゃあ、準備出来次第よろしく』

り「こちらこそ」


こうして日曜の早朝から、私の人生の転換期が訪れた。

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作者名:蚕虫 | 作成日時:2023年10月23日 10時

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