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車に乗り込んで、まず私は頭を下げた。
『ごめん』
と「えっ、」
虚をつかれたのか、としみつくんが暫し固まる。その前で、私は潔く頭を下げ続けた。
『もしかしたらだけど、巻き込んだかもしれない。多分、てっちゃんの方しか見てなかったから、大丈夫だとは思うけど……とにかく何かあったらごめん』
と「謝られるだけじゃ何も分からん、よ」
たどたどしめの抗議に、それもそうだと頷く。
『どうしよう。コメダとか行く？』
と「誰かに聞かれたら嫌じゃない？浅谷さんが良かったら、俺はここでいいけど」
たしかに、なんだかんだ東海オンエアのファンに探られたらよろしくない事情も多い。
『じゃあせめて、コンビニでコーヒー買おっか』
2人連れ立って、近所のコンビニに向かう。
としみつくんはお腹が空いていたのか、サンドイッチも手に取っていた。
と「あとホットコーヒーのL、2つお願いします」
『…………あ、』
知らぬ間に、お会計が済まされてカップを渡された。
『ごめん。私から誘ったのに』
と「…………いや、」
車まで戻る道すがら、としみつくんは一言も発さなかった。いつもの事だけど、いつもより空気が固い気がして少し気が重い。
前を歩く彼を追いかけるだけの状態が、ほとんど喋ったことのなかったあの日の海を彷彿とさせた。
『ごめんね』
だから、車に乗り込むなり出てきた言葉もまた、謝罪だった。
としみつくんは黙って、手元のコーヒーを眺めている。
『…………あんまり、気持ちのいい話じゃないけど、もしかしたら今後、としみつくんにまた迷惑かけるかもしれんから』
と「迷惑じゃないよ」
うん、口ではそう言ってくれるよね。
でもね、本物の迷惑なんだよ。私がかけるのは。
てっちゃんに聞けば分かる。
私は、小�膨轍箸凌誉犬魘犬錣擦討襦�
それでも、あの人たちは私を包み込んでくれた。
それは、私が小�膨轍箸梁膸�な長男てっちゃんの幼馴染だったから。
迷惑の塊みたいな私とお兄ちゃんを受け入れてくれたあの家族は、特例なの。
でも、としみつくんは違う。
心の底で唱えた愚痴を全て飲み込み、私は少し微笑んだ。
としみつくんが身じろぐ。
罪悪感が波のように押し寄せてきた。
弟のように思っていたとしみつくんを、危険に晒すかもしれない。
『話聞いて……こんな奴無理だってなったら、距離置いてね』
と「は、」
私を守りきれなくて泣いていたお兄ちゃんに自分を重ね、私は重い口を開いた。
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作者名：蚕虫 | 作成日時：2023年10月6日 3時
