【盗撮】としみつがイベントで大遅刻したのでブチギレます ページ5
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イベントに出るというてっちゃんを見送り、二度寝をした朝だった。
深い眠りの中、何度も鳴る電話のコール音に、次第に意識が覚醒する。さすがに昨夜、てっちゃんに合わせて22時就寝したせいで、眠りが浅かったみたいだ。
『はーい？もしもし』
て「お、起きてた？」
『な訳。起こしたんでしょ』
て「そう。任務を与えようかと思いましてね」
『任務？』
私が一番嫌う鬼電での目覚ましをやってきたあたり、よほど重大なことなんだろう。仕方なく重い体を起こし、立ち上がった。
て「としみつがね」
『としみつくん？』
半笑いの声に、眉を顰める。
て「まだ寝てんだよね」
『…………ん？』
時計を見ると、時刻は10時。絶対に遅刻だ。
て「起こしに行ってあげてくれん？」
『なるほどね。住所送って』
電話で起きないなら、ピンポンするしかないってことだろう。ただ、スタッフさんは皆イベントの方に出向いているから、私を使うと。
て「今、りょうから送った。ちなみに謝礼は？」
『鰻重かな』
て「おぉ！安上がりやん」
『え、勿論今週いっぱい毎日だよ？』
て「は？ウザすぎ」
『冗談やって。じゃあ向かうから。起こしたら連絡するね』
電話を切ろうとしたその瞬間、「待って」と制止がかかった。
て「としみつから電話させて。ドッキリ並行しとるから」
『なんの？』
て「マネージャーブチギレ……ドッキリではないな。マネージャーがブチギレる予定だから」
『はいはーい』
タチ悪いなぁ、相変わらず。苦笑いで車のキーを掴み、駐車場へ向かった。
『意外と近いとこ住んでるんだ』
ナビに入力しつつ、起きてくれるといいなと願いながら車を発進させる。もう昼も近いからだろうか。若干道は混んでいた。
『間に合うといいけど』
イベントのスケジュールを、私は知らない。だから、としみつくんが今、イベントに遅刻しているのかリハに遅刻しているのか分からないのだ。
多分、リハのはずだけど、皆が待っている可能性を考えると急いだ方がいいだろう。
少し粗めの運転と近さもあって、15分弱で辿り着いた。独り身の多そうなマンションだ。駐車場もガラ空きで、すんなり停められた。
『えーっと……？706か』
一応スマホのカメラを回しつつ、オートロックのインターホンを押し、暫し待つ。反応は無い。もう1回。
と「………！？」
『おはよー』
と「……！？！」
インターホン越しに、悲痛な悲鳴が聞こえた。
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作者名：蚕虫 | 作成日時：2023年10月6日 3時
