Idol 2 (ページ35)

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虫眼鏡が困惑しているページ35

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虫「ヤバいことが起きてるって」

ざわくんに頼まれカメラを回すと、いきなり彼が頭を抱えた。

虫「さやりん」

『え、私？』

虫「ひなフェス出るなんて聞いてないけど！！」

『………えっ、言わんかった？』

正直、私からしてみると何を今更という感じだ。だってあの日、小関さんから電話があった時に皆……

『言わんかったわ』

たしかにざわくんだけ居なかったかもしれない。

り「虫さんはどこで知ったの？」

虫「Twitterだよ！なんで？！こんな近くに居るのに一言くらい……いや、情報漏洩だねダメだわ」

て「自分で解決しちゃってるじゃん(笑) 」

てっちゃんとりょうくんがケラケラ笑う横で、ざわくんはとうとう地面に寝そべってしまった。

し「そんなショック？」

虫「チケットが無いの！！無いんだ！！さやりんの勇姿を見れんの！！」

り「でも配信するんでしょ？」

虫「現場に行くってのが大切なんだよ！！」

これは相当おかんむりだ。お手上げでてっちゃんを見ても、肩を竦められてしまった。

虫「Twitterがどんだけ荒れてるか知ってる？当落発表後にサプライズゲスト浅谷Aって発表出すのは暴動ものだよ」

『事務所に言って』

虫「あーーー！！有り得ない！！」

バタバタと暴れるざわくんに、苦笑が浮かぶ。

『ホント急だったんだよ。あずちゃんとの踊ってみたを確認したマネージャーさんから、そこまで出来るならひなフェスも出れるだろって……え、泣いてる？』

し「号泣やん」

本気で泣いているざわくんに、ちょっと驚いてしまった。

『ごめんね？そんなに思ってくれてるとは』

虫「浅谷Aが浅谷Aを軽視する……」

そんなに言うなら……と私は懐を探った。あ、あった。ちょうどついさっき郵送されてきたのだ。

『一応家族招待チケットは2枚あるけど』

虫「はっ！？」

飛び起きた拍子に眼鏡がズレているのがおかしい。暫く物干しげにチケットを眺め、ざわくんは目をキョロキョロさせた。

虫「いや、ダメでしょ……家族招待は家族を……」

『親来ないし余ってるよ？普通にてっちゃんに来てもらってあと1枚は返すつもりだったけど』

その直後だった。不意にざわくんが視界から消え、気が付くと土下座していた。

虫「後生です。僕を家族にしてください」

り「気持ち悪ぅ」

りょうくんの言うことも尤もだけど、あまりに悲惨で申し訳なくなって。

『どうぞ』

私はチケットをざわくんの背に乗せた。