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と「浅谷、さん。意外と背低いやんね。だから」
『えー、そうなのか。なんか対策とか出来ないのかな』
と「そこまでは知らんかも」
『いや、そりゃそうだよね。自分で調べます』
なんて言ってる間に、私たちは寝転がるてっちゃんの前に来た。
『てーっちゃん』
しゃがんで肩を揺する。
『パラソル開くから起きて。やないとお腹にパラソル落とすよ』
て「んー」
一応脅してはみるものの、てっちゃんは微動だにしない。私がなんだかんだそんなことはしないと分かってるんだろう。
と「代わる。これ、支えれる？」
『あ、うん』
としみつくんからパラソルを受け取ると、彼はスタスタてっちゃんに近づいた。そして。
と「てつやぁ。そろそろ起きまい」
私よりもよっぽど優しい声をかけ始めた。
虫「やっぱりとしみつ優しいね」
『あれ？ざわくん居たの？』
虫「ずっと撮っとったよ。さやりんのパラソル持ってあげるとしみつとか」
と「は！？なんで！？」
虫「優しいなと思って」
ニコニコ笑うざわくんはしてやったり顔だ。一方のとしみつくんは苦虫を噛み潰したような顔をしている。
り「としみつは優しいよ」
いつの間にか後ろからパラソルが奪われた。りょうくんだ。軽々とそれを奪った彼は、いとも簡単にパラソルを開き、砂浜に設置する。
り「起こさなくても大丈夫かもね」
てっちゃんの頭部分が日陰に覆われてホッとした。
『ありがと、りょうくん』
り「俺は何もしてないって」
その笑顔の含意を悟って、私はとしみつくんに向き直った。
『としみつくんも。ありがと、助かった』
と「うん」
照れ隠しの小声に、ざわくんとりょうくんがニヤニヤ笑う。そしてそれに気付いて、としみつくんはバッと立ち上がった。
と「なに！？」
り「いや、なんか……ね」
虫「微笑ましいなって」
と「はあ！？」
て「なぁに、うるさ……」
てっちゃんが喧騒に目を開いた。私は寄って行って、軽く体温を測る。
『多分大丈夫と思うけど……ポカリ、飲んで。炎天下で爆睡はダメだよ』
て「ん」
ペットボトルを手渡せば、中身はみるみる無くなった。やっぱり水分不足だったんだろう。
『このパラソルもとしみつくんが運んでくれたんだから！お礼言う！』
て「ありがと〜」
『まだ寝るの？』
て「寝るぅ〜」
『ならこの下居なよ？』
てっちゃんの世話を終えて顔を上げると、なぜか今度はとしみつくんまで微笑んでいた。
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作者名：蚕虫 | 作成日時：2023年10月5日 19時
