何かと下がりがちなとしみつの好感度を補充する動画 ページ16
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と「あ、………の、それ、持とうか、俺」
てっちゃんとざわくんとりょうくんと、そしてとしみつくんと。車で訪れた海水浴。
その途中、珍しく私はとしみつくんに話しかけられた。
りょうくん以外の男共は着くなり水着で海に駆けて行って、私とりょうくんは海の家でちょっと涼んで。
ただ、りょうくんがざわくんに呼ばれて海に行っちゃったものだから、私はふと他の皆の様子を眺めてみたのだ。
そしたら、疲れたのか知らないけれど、一応敷かれたレジャーシートの上に大の字で寝るてっちゃんが見えた。
絶対日焼けするし、何より熱中症にでもなりそうで怖い。
そう思った私は、海の家でパラソルをレンタルした。
そして冒頭に戻る。
『え、いいの？ありがとう』
正直だいぶ重かったから助かった。ホッとして彼の顔を見上げると、いつも通り目を逸らされる。その頬は赤かった。
と「どこまで？」
『てっちゃんがね、多分暑いとこで寝てるから。持ってってあげようと思って』
と「てつや……あっちの砂浜か」
『うん。ごめんね、ちょっと遠いけど』
と「いや、大丈夫」
力こぶが浮かんで、パラソルがグンと持ち上がった。虹色が青空に浮かんで、夏色に目が眩む。
『やっぱり男の人とは筋力が違うね。私、持ち上げらんなくて、引きずっちゃったもん』
と「や、まあ……こんくらいは」
照れたまま、としみつくんはスタスタ進んだ。
私はと言うと、砂浜を歩くのが久々で着いてくのに精一杯だ。気付かぬうちに、もう10mは離れている。
仕方なく私は口を開いた。
『ね、としみつくん。もうちょっとゆっくり、』
と「あっ！ごめん」
パッと立ち止まって振り向いた彼は、心底申し訳なさそうな顔をしていた。
それがおかしくて、私は笑う。
『こっちこそごめんね？足短くて』
と「いや、そんな事ない。足、長いと思う。分からんけど」
『分からんの？(笑) 』
生足を見るのがはばかられたからだろうか。としみつくんは一瞬私の足を見ようとしたかと思うと、すぐさま首を90度回してしまった。
別にビキニでもないし、ラッシュガードにハーフパンツなんだから、見られてもいいんだけどな。なんて苦笑いのまま、私は彼の隣に並ぶ。
『おまたせしました。やっぱりダメだね。砂の上って、歩きにくくない？』
と「足のサイズが小さいと、歩きにくいって聞いたことあるけど」
『え、そうなの？』
私の問いに、彼はまた「分からんけど」と言葉を濁した。
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作者名：蚕虫 | 作成日時：2023年10月5日 19時
