Idol (ページ12)

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お迎え兼ドライブページ12

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り「てことで、駅までてつやとしばゆー迎えに行きまーす。Aちゃんがお供でーす」

『彼女目線ですね、これ』

カメラを回しつつ、運転席のりょうくんをいじる。すぐさま真っ白な歯が見えて、照れた声が返ってきた。

り「やめて？そういういじり方」

『なんでよ。いいやん、りょうくんってそういう感じで人気なんでしょ？』

り「そんな訳ないから」

アメリカ旅行以後、りょうくんとはだいぶ打ち解けた。というのも、2人ともハンバーガーばかりの生活が苦手だったというのがある。

毎日コッテリハンバーガーでも平気な他のガサツメンバーを置いて、大きな町に来る度にスーパーに向かい、野菜や生ハムでサラダを作ったのだ。

その度に3時間くらい2人きりで居たから、めちゃくちゃ仲良くなった感覚はある。

り「にしてもさぁ、名古屋まで来いって酷くない？」

『え、勿論お金要求しようね？』

り「さすがすぎ(笑) 」

運転は丁寧だし、てっちゃんみたいな無茶も言わない。しばゆーみたいに雑なこともないし、としみつくんみたいに目が合わないこともない。

『ホントにりょうくん、完璧だよね』

り「Aに言われたくないなあ」

『なんで？私、ダメダメじゃん』

り「どこが(笑) やろうと思えばなんでも出来るでしょ？」

『えー、なに。優しいね。何買って欲しいの？』

り「なにそのオバサンくさい返し(笑) 」

名古屋までの夜道をひた走りながら、私たちはずっと話し続けていた。内容はめちゃくちゃしょうもなかったり、ほんのちょっとだけ真剣だったり。

そんな中、自然と内容は恋愛のことに移る。

『どうなの？最近。彼女さん、仕事忙しい？』

り「まあそうだねぇ……でも俺も負担になりたい訳じゃないから」

看護師だというりょうくんの彼女は、話を聞く限りめちゃくちゃに真面目な人で、だからこそ仕事ばかりになってしまうのだとか。

り「結局、俺が会おうとすれば会えるからね。俺の頑張り次第かな」

『めっちゃいい彼氏じゃん』

り「当たり前だってこんなの……俺の事より、Aは？」

話を振られたから、私は肩を竦めて見せた。

『りょうくんなら、男8人と1ヶ月キャンピングカー生活するような女と付き合いたい？』

り「あー(笑) 」

『ね？』

薄ら笑うと、慰めるようにポンポン肩を叩かれた。