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「やめんか2人とも。
新学期早々、楽しくやろうじゃないか。」
あー、むかつく、とつぶやいて、
前に向き直った。
校門の方は相変わらず騒がしいから、
多分また去年みたいな勧誘をやってんだろう。
去年、剣道部に入るっつってんのに、
何度も勧誘してきた料理部を断るのには骨が折れたな、なんて思い返す。
「いやー、去年の今頃は＿＿」
キィィィィ、ドタァン。
朗らかな顔で回想に入ろうとした近藤さんを、
物凄い音が遮った。
『おいおい、新学期早々物騒だな。』
「あ、あれは、
坂田さんご兄妹じゃないか！？」
近藤さんが指差した先にいたのは、
確かに坂田兄妹。と、横転したバイク。
「ありゃー、派手にやっちまったみたいですねィ。」
と、そこにやってきたのは。
『とっつぁんじゃねェか、あれ。』
俺たちの顧問兼、いかにも生活指導、いかにも体育教師の、松平先公。
「いやー、とっつぁんも真面目に働くときは働くんだなぁ。」
ガハハ、と近藤さんが笑ってるうちに、俺らも三人に追いつく。
『おいとっつぁん、何があった？』
未だに地面に転がっている兄妹を、顎で指して聞いてみる。
「こいつら原チャリでこけやがったのよォ。
朝からおじさんの仕事増やしやがってェ、
もうおじさん、そんなに若くないんだからねェ？」
「だから見逃してくれるって言ってたじゃん！
自分から仕事増やしてるんじゃん！！」
「うるせェ妹お前は黙ってろォ。」
『銀髪、お前まさか飲酒運転とかじゃねェだろうな……』
「ちっげェよ！誰が朝っぱらから飲酒運転なんかすっか！
てか銀髪ってやめろ！お前が言うとなんかバカにしてるように聞こえるから！！」
「あんたはよく二日酔いになってるでしょうが！」
兄妹そろってガミガミガミガミ。
DNAってのはどうしてこんなにも残酷なもんなのか。
「仕方ねェだろ！
人生飲まなきゃやってらんねェ時ってのがあんだよ！」
坂田家の兄妹喧嘩が始まったところで。
近藤さんがとっつぁんに向き直る。
「そうだ、とっつぁん、こいつが前言ってた新入生だ。」
「おォ、オメェさんかァ、期待の新人っつゥのはァ。」
「ども。」
総悟のことは前々からとっつぁんに話してたし、
総悟にもとっつぁんのことは話してたから話が早い。
「オメェ確か推薦だったよなァ？
放課後教員室に来なさァいやること色々あっからァ。」
「うす。
……チッ。」
舌打ちしてんじゃねェよ。
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作者名：ニコ | 作成日時：2020年4月3日 10時
