【d!】ヘビースモーカーと嫌煙家【z/m】

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何度か往復して段ボールを運び、まだ残っている破棄資料の分別をゾムくんと始める。
無言で作業を進めて行く中でふと彼を見るとバチっと目が合う。


「何見てるん」

「見てたのそっちでしょ」

「先輩だって見たやん」

「私はちょっとそっちに目を向けただけですー」

「えっち」


なんだよえっちって、先に見てたのはそっちでしょうがえっち。


資料に目を落とすゾムくんの耳が赤い。照れ隠しか。
口を尖らせながら資料を見る彼がなんだか無性に可愛くてまた母性本能をくすぐられる。ちくしょう、悔しいぜ。


こっちまで恥ずかしくなってきて少し離れた棚の整理を始める。この辺りの棚はもう終わったからあとは上のだけ。
脚立を持ってきて目的のファイルを取ろうとするが脚立が低くて背伸びしてギリギリ取れるかどうかの位置。


私が格闘していると横から手が伸びてきて目的のファイルが抜かれる。


「これ？」

「あ、うん。ありがとう」


脚立に乗りほんの少しだけ高くなった私の身長。目線はゾムくんと同じになる。
いつもとは違う視界に動揺しつつファイルを受け取り脚立から降りる。


少女漫画とかでよくあるシーンかよ…。


「先輩はもっと俺に頼った方がええで」


片方の口角を上げ笑う彼の手が私の頭の上で跳ねる。


「善処します…」


変な返しをしてしまった。
まじで少女漫画…。

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