【d!】ヘビースモーカーと嫌煙家【z/m】

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8月。ジリジリと照りつける太陽にうるさい蝉の声。額から流れる汗を拭って自分の勤めるオフィスを見上げる。
やっとついた、とポツリと呟いた声は騒がしい蝉の声を運ぶ生ぬるい風にかき消された。


自動ドアを抜けると室内は外とは真逆で空調がガンガン効いてて天国だ。
汗でべったりと張り付いたブラウスがだんだんと冷んやりとする感覚は嫌いではない。


エレベーターに乗り込み目的の階のボタンを押した流れで閉じるボタンも押す。


すると閉まりかけた扉の間からスルリと人が乗り込んでくるのに気づいて慌ててさっきとは逆のマークのボタンを押す。引き合っていた扉と扉も心なしか慌てて離れ出る気がした。


そしてしっかり開いた扉からすんません、と言って男性社員二人が乗り込んでくる。
軽く会釈をしてボタンを押す。今度こそ完全に扉が閉まり長方形の箱が上昇していく。見るともなしに階数表示を見つつ男性社員二人の会話に耳を傾ける。


「今日から新しい部署やな」

「ほんま急すぎるわー」

「一回オフィス行くん？」

「荷物取り行かな」

「おん」


どうやら茶髪の若干長髪な男性社員は今日から異動らしい。


そんな話を聞いていたら今日から私の所属する総務課にも寿退社した子に変わって一人異動してくるらしい。
確か噂では男性だと聞いたからこの人なのかなーとちらりと茶髪の背中を見ると同時に彼らの目的の階に着いたことを知らせる音とともに扉が開く。


それを見計らって男性社員二人はエレベーターを降りて行った。

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