Story91 ページ48
降谷 side
「無いですね〜、あの大きなアイスクリーム…。」
「ですねぇ…」
時刻は、夕焼け空が紫色に傾いた少し後ほど。
在庫を確認したらポアロ用のアイスがいつの間にか消えていたとの事だったので、急遽梓さんと共に近くのスーパーに寄っていた。
梓さんの発言に相槌を打ちながらも、僕の頭の中は先程の碧咲の行動で埋め尽くされていた。
…どういう事、だろうか。
降谷Aと亜月碧咲が同一人物という可能性も考えたが、馬鹿馬鹿しいにも程があると直ぐに取り消した。
…の、だが。
考えれば考えるほど、真実はそれなような気がして気が気では無かった。
…そう言えば、例の東都水族館の事件の後、何者かがうっすらと自宅に侵入したような後はあったような気がする。
現在の住宅は、僕がAのことを第一に考えて、セキュリティ面も僕が直々に認めたそれなりには安全なマンションなので、それは無いかとその時は大して気にしていなかったのだが。
…今度、申し訳ないがAの部屋に入って少し調べる必要がありそうだな。
あまり仲がいいとは言えない息子(ただし大好き)の部屋に勝手に入るのは気が重いが、もし本当にAと碧咲が同一人物なのだとしたらそんな事を気にしている場合ではない。
「あ、私、店員さんに聞いてくるから、安室さんは小麦粉と卵をお願い!」
そう黙々と思考を巡らせる僕の耳に、ふと梓さんの声が飛び込んできて、現実世界に引き戻される。
「…梓さんはいいお嫁さんになりそうですね。」
「軽はずみな言動は避けて!」
なるべくそれを悟られないようにそう答えると、梓さんの口からは意外な言葉が出てきた。
「え?」
「安室さんはうちの常連のJKに大人気で、この前も私が安室さんに言い寄ってるってネットで大炎上だったんだから!
今の時代、どこで誰が聞き耳立ててるか分かんないんですからね!」
「で、ですね…。」
梓さんは僕すら驚かせるスピードトークでそう言うと、両手で珍妙なポーズを構えながらどこかへ行ってしまった。
……。
"今の時代、どこで誰が聞き耳立ててるか分かんないんですからね!"
その言葉が、とある小学生の会話を盗聴している今の僕に重なって聞こえ、僕は思わず苦笑を浮かべたくなった。
…考えるだけ無駄だな。
さっさと小麦粉と卵を買いに行こうと足を動かす僕の目に、チラリと自分そっくりな金髪が映ったような気がした。
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夜雨ナナト - 無理だったとかなら全然書かなくていいです。ログインできない私はお気に入り登録することができませんが応援しています! (2020年2月3日 1時) (レス) id: 2e33344876 (このIDを非表示/違反報告)
夜雨ナナト - リクですね!降谷さんの息子として外を歩いてるところを逆ナンされてしまい せらますみちゃん に助けてもらい、けれどあまりにも降谷さんに顔が似すぎていたのでうたがわれてしまう っていうのできませんか?私の低脳すぎる脳ではこれが限界だったぁぁぁぁぁ! (2020年2月3日 1時) (レス) id: 2e33344876 (このIDを非表示/違反報告)
夜雨ナナト - めっちゃ面白いです!前作から読みました。めっちゃ面白いです!←この作品が神すぎてこれしか出てきません。すみません。 (2020年2月3日 1時) (レス) id: 2e33344876 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 更新頑張ってください! (2019年11月9日 21時) (レス) id: 57d631d047 (このIDを非表示/違反報告)
加熱されたみかん - ほんっとに作者様の作品大好きです……更新頑張ってください! (2019年10月19日 17時) (レス) id: 9c8747fe33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:食物連鎖の頂点に立ったササミ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/1e4d26931d1/
作成日時:2019年8月14日 16時