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その日は、お昼から2人で出かけた。
手を繋いで、電車に3駅分乗って、
それなりに大きい映画館に。
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どんなのが好き？と言われても、
あまり映画を観ない私はよくわからなくて。
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有名な俳優さんが乗っているポスターを
指さして、
「これ、とか・・・」
と言ったら、
「ほんとに(笑)？」
と笑われた。
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「うそ・・・(笑)」
「やっぱり(笑)」
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こういう、
少し小難しい真面目な話を、
櫻井さんは好みそうだな、と思ったから
咄嗟に指をさしてしまった。
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「Aちゃんが観たいの観ればいいよ、」
「ほんとに？」
「嘘言わないよ、」
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甘やかされて、大事にされて。
与えられるものが
″怖い″と突き放すのは、やめようと思った。
*
「楽しかったです、」
「うん、よかった、」
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結局、ファンタジー要素が少し入ったような
洋画を一緒に観た。
画が綺麗で私はとても気に入ったのだけれど、
大人の男の人が喜んで観そうなものではなかったな・・・
と、思いながら横を歩く。
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「俺も結構好きだった、」
「・・・ほんと？」
「嘘は言わないよ(笑)」
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ぽん、と頭に手をのせられて
優しく笑われる。
降りた手がそのまま私の手を迎えに行って、
自然に手を繋いだ。
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ああ、なんだか。
恋人同士みたいだ。
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幸せが、このままずっと、続けばいい。
そんなこと思うのは、
″幸せ″に終わりがあるって、
私が心のどこかでそう信じて疑わないからで。
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そんな自分が
可愛くないと思う。
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