教師になったらヤンキー校配属になりました。

今と遅刻と警察と。 ページ10

「ホント、笑っちゃうよ」

口に出していないはずの言葉が耳に入り、うつむいていた顔を少しだけ上げる。

…頭がまとまらない。

寝起きの私は訳が分からないほどフワフワとしている。

頭のどこかでは冷静な自分がいるのは分かるがその部分と行動がどうにも繋がらなくなってしまう。


「…おこってる？」
「はぁ…当たり前でしょ」

…あたりまえ、…何で？

「なんで」

「…」

神威の顔に笑みが広がる。

…が、何故だか少し怖い。

少しだけ距離をとろうと後ずさりすると、つかさず腕を掴まれた。

「…少し勘違いしてない？」
「かんちがい…何を」

何を言っているのかわからずに神威の言葉をただ復唱する。

「１番強いのは俺。」

「…」

「もしセンセーが今、俺より強くても…」

「…」

「いつかは俺の方が強くなる。」

「…そうか」

「俺が強くなるまで何度も何度でも、ケンカ売ってあげる。」

「…うん。」



「…だから、泣いてると売りずらいんだけど」




…言われて気づいた。

頬をつたう涙をゴシゴシと腕でこすると少しずつ、頭のモヤが晴れていく気がした。


「…わたし、もうすこし、おそくうまれたらキミにあえたのにね」

「…そうかもね」

「『私』のコト、よろしくね？」

「…なにが」

「ばいばい」



ーーそれを境に、ブツっと意識はとぎれた。



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「…で？」

「うーん、センセーのことよろしくって言ったあと、倒れた。」

「…ふーん」

今、私は先程までの『わたし』の行動について聞いている。

…察しのいい方は、もう薄々気づいているかもしれないが…

私は、自分の中にもう一つの人格がある。

と言っても…

「何？それじゃぁ、センセーって二重人格？」

「…ちょっと違うんだけど、医者いわく

幼児退行

っていうらしいんだよ。」

「…あー、言われてみれば」

何故か私は、たまに幼児退行…それも小学生レベルに戻ってしまうらしい。

「らしい」というのは、その時の記憶は私には残ったことは一度も無いからだ。

もう一つの人格は、私のことを『私』と呼び、

私は彼女のことを『わたし』と呼ぶ。

聞いた話によると、『わたし』はたどたどしい言葉使いで、きまって『私』のことを話すらしい。

そして、「またね」と言って私の身体が倒れると、周りは話していた。

でも…






「ばいばいって言ったんだよね…」




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主人公は幼児退行しちゃう人でした…


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