知らないから ページ9
「あのさぁ!」
強く言い切った言葉が静寂を破った。それと同時にみんなが私の方を見てきて急に恥ずかしくなって来た。
何キレてんの私!!前もあったから今度は改めなきゃっ。
「なんだよ、アーヤ。言いたいことがあるならはっきり言えよ。」
そう若武がキレ気味にいつもの輝く瞳に鋭い光を宿しこっちを睨んできた。
むっ!
何よっ!私は何もしてないじゃない!!
露骨に怒った若武の態度が気に入らなくて落ち着いて来た私の怒りメーターはまた一気に急上昇。
「ねえっ!いい加減にしてよっ、私と夕がどういう関係だとしてもあなた達には関係ないでしょ!?」
言っちゃった、つい強く出ちゃったけど…大丈夫かな。
みんなはそう言った私に、は?みたいな目線を送ってきた。
げっ、絶対みんな怒ってる…。でも私だって怒ってるんだからね!
そんなみんなの視線に私はいたたまれなくなってまた込み上げてきそうになる怒りを飲み込んだ。
キーンコーンカーンコーン
気まずい空気の中、予鈴がそれを切り裂いた。
ほっ。正直この空気で咎められたら立ち直れない…
帰ろう。助かった…
「じゃあ、私帰るから。」
そう早口でまくし立てそそくさとカフェテリアを出て行った。
****
玄関へ向かうと周りは騒然としていた。
…嫌な予感。でもみんないるわけないよね。うん、絶対そうだ。
結局みんなはいなかった。いないってわかってても来ないって知ってても少しは期待してる自分がいて、それでちょっぴり落ち込む自分が嫌になった。
秀明を出てしばらくしてからだった。
「おい。」
ん?今おいって聞こえたような…。はて。
「おいっ。」
へ?上杉君?!
「……悪かった。」
「え、あの何が?」
意味がわからなくてさっきの出来事など構わず反射的にそう聞き返していた。
「いや、さっきの。」
そう言ってふいっと横を向いてしまった。
「ううん!大丈夫、気にしないで。あの、私の方こそごめんなさいっ。ゆう…榛名君とはなんともないから!」
「別に。気にしてんのそこじゃないから。」
?
「あーっ、なんでもねっ!」
……
お互い無言になった。それを壊したのは上杉君だった。
「あの、さ。立花が良ければ夏祭り行かね?いや、なんつーか嫌なら別にいいんだけど。」
「行くっ!行きたいっ!」
そう言った私にふっと笑って
「じゃ、また。気をつけて帰れよ。送りたいとこだけどお前嫌がるだろ。じゃな。」
ーーーーー
美門智
32人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒木玲奈(プロフ) - 夏蜜柑さん» そうですね、書いてるときも思うほどです。wありがとうございます!頑張ります! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 267fae23b3 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 上杉君カッコイイ アーヤ自分の気持ちに素直になって!と思っていました更新頑張ってください応援しています (2018年8月25日 20時) (レス) id: fa082eb104 (このIDを非表示/違反報告)
黒木玲奈(プロフ) - *suzu*さん» 楽しんでいただいてるようで、幸いです!ありがとうございます、作者一同頑張ります!これからも、どうぞ夏色をよろしくお願いします。 (2018年8月25日 11時) (レス) id: 267fae23b3 (このIDを非表示/違反報告)
*suzu* - すごくドキドキさせてくれるお話です!榛名くん, 上杉くんがカッコいい!これからの展開が楽しみです。まだまだ暑いですからお体に気をつけて更新頑張ってください。 (2018年8月23日 11時) (レス) id: a962bd5f54 (このIDを非表示/違反報告)
橘綾(プロフ) - 茉莉さん» コメントありがとうございます!そういっていただけて作者一同、大変うれしいです!皆様の期待に添えるよう、頑張ります! (2018年8月11日 18時) (レス) id: 785a5fde57 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:上杉奏&美門智&橘綾&黒木玲奈 x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aishou_kz
作成日時:2018年4月10日 21時