夏色の君は知っている

君のもとへ ページ25

私、上杉君が好きなんだ。





好き。。。






あの、厳しそうで優しくて





冷たそうで暖かくて





遠くにいそうですごく近い上杉君が。








ー俺は彩が好きだ








そういった君の顔も。






ー 俺は誰よりもお前を見て来た。 ずっと好きだった。




あのまっすぐな瞳も。







ー だから…だから俺にしろよ。 ぜってー後悔させねーから。





強く握られていた拳も。




ずっと私の心に焼き付いていたのは




目を閉じる度、浮かび上がってきたのは




上杉君といるとき、妙に心臓が忙しかったのは。









好きだから。




「上杉君。私ね、」




月の光だけが差し込む暗い部屋の中で小さくつぶやく。



「私もね、」


黒い天井をただひたすら見つめながら。



「上杉君のこと、」



どんなに暗くても、目をつぶれば君はそこにいる。



「す、き。」


あの日つないだ手のぬくもりも。


表面は冷たくても、中身は誰よりも優しいところも。


いつも私を気遣ってくれるところも。





全部。



「ぜーーんぶ、好き。」





やっと気づけたから。




自分の気持ちに。



本当の気持ちに。



ずっと、心の中に秘められていた気持ちに。



「っ！」




ー 上杉君が大好き。 夕も大好き。
　 若武も、小塚君も、黒木君も、翼もみんな、同じくらい大好きだよ。



いつか自分の口から発したあの言葉を思い出す。




違ったんだ。




上杉君。。。。





違うの。




私ね、みんなのこと、本当に大好きだよ。





それには、変わりない。




でも、上杉君だけ。。。。






少し違うの。

　





「恋愛的な意味で。。。」






学校でよく耳にするあの言葉。



『恋愛』


やっとわかった。




上杉君。




あなたのおかげで、いろんなことを知ったよ。






ー 俺と付き合えよ。




まともな返事をできてなかったね。





絶対、あなたに届けるから。








数秒後、気付いたら、私は着替えて家を後にしていた。








走った。






とにかく走った。





上杉君のもとへ。





大好きな、上杉君のもとへ。






「大好き。。。」




この思いがあなたに届くまで。






私は走り続ける。

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