大好き ページ22
「ねぇ、二人とも!私…」
そう言った瞬間、言い争いの声がはたと止まる。
二人の視線が私に集まって…緊張で鼓動が高まった。
だめだよ、彩。言わなきゃ。
勇気を出して!
ふぅ。大きく深呼吸をして呼吸を整え、上杉君と夕の目をまっすぐに見据える。
上杉君の目には緊張と不安、夕の目にも同じような色が窺えた。
「私は。」
上杉君が話してくれた想い。
夕が伝えてくれた気持ち。
きちんとこたえなきゃ。
・
・
・
「上杉君が大好き。」
上杉君が固まり、夕が目元を覆った。
「夕も大好き。」
夕が目を覆っていた手を下ろし、目を真ん丸にしてこちらを見てきた。
上杉君も目を見張っている。
「若武も、小塚君も、黒木君も、翼もみんな、同じくらい大好きだよ。」
一生懸命、伝わるように一語一語を選んで息に乗せる。
「みんなの為だったら何しても良い、ってくらい。命だって惜しくないよ。」
何か言いたげな上杉君の目を無視して続ける。
「KZも大好き。今はそこに全力を注ぎたい。だから…気持ちはすごく嬉しいんだけど…今はどちらの気持ちにも応えられない。二人のことは大好き。でも…私は誰とも付き合わないって…」
そこまで言って私の言葉は途切れた。
静かに、涙が頬を伝う。
上杉君の腕が伸びてきて私を包み込む。
気持ち的になにかに頼りたくて、上杉君にすがりつき、しゃっくりあげた。
静かに、時間だけが流れていた。
―――――――
ふぅ。
二人と別れた後、着替えてベッドに寝っ転がり天井をぼーっと見つめる。
『上杉君が大好き。夕も大好き。若武も、小塚君も、黒木君も、翼もみんな、同じくらい大好きだよ。』
自分の言ったことが、頭の中で何度も流れる。。
チクッ
何かが心に引っかかる。
本当に、「みんな、同じくらい大好き」?
心の中の私が問いかける。
なに?なんなの、この気持ち。
私はみんながおんなじくらい大好き…なんだ…よ…ね?
なぜだか言い切れない自分にイライラする。
はぁーー!もう嫌だ。
無理矢理、考えていることを脳から追い出して、目をつむる。
その後、ようやく眠りにつけたのは、それから30分後のことだった。
――――
橘綾
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黒木玲奈(プロフ) - 夏蜜柑さん» そうですね、書いてるときも思うほどです。wありがとうございます!頑張ります! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 267fae23b3 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 上杉君カッコイイ アーヤ自分の気持ちに素直になって!と思っていました更新頑張ってください応援しています (2018年8月25日 20時) (レス) id: fa082eb104 (このIDを非表示/違反報告)
黒木玲奈(プロフ) - *suzu*さん» 楽しんでいただいてるようで、幸いです!ありがとうございます、作者一同頑張ります!これからも、どうぞ夏色をよろしくお願いします。 (2018年8月25日 11時) (レス) id: 267fae23b3 (このIDを非表示/違反報告)
*suzu* - すごくドキドキさせてくれるお話です!榛名くん, 上杉くんがカッコいい!これからの展開が楽しみです。まだまだ暑いですからお体に気をつけて更新頑張ってください。 (2018年8月23日 11時) (レス) id: a962bd5f54 (このIDを非表示/違反報告)
橘綾(プロフ) - 茉莉さん» コメントありがとうございます!そういっていただけて作者一同、大変うれしいです!皆様の期待に添えるよう、頑張ります! (2018年8月11日 18時) (レス) id: 785a5fde57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:上杉奏&美門智&橘綾&黒木玲奈 x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aishou_kz
作成日時:2018年4月10日 21時