花 ページ14
諸事情により、黒木玲奈を飛ばします。
***
2年ぶりの夏祭り。
中学二年生に進級した榛名夕は地域で開かれる夏祭りの混雑の中、特にあてもなくフラフラと現地をさまよっていた。
屋台やら、提灯やらが出ていて夜の闇を煌々と照らす。
見れば中学・高校生らしきカップルが沢山いる。
はぁ...
この光景を見て、彩の顔を思い出してしまう自分を疑う。
俺って、一目惚れするタイプだったか?
会えない...よな。
約束もしてないのに、会えるわけがない。
知っているのに、分かっているのに期待してしまうことに苛立ちを感じる。
恋ってこんななんだ。
無理って分かっていても、諦められなくて。
忘れたくても、脳裏に焼き付いて離れなくて。
この気持ち、伝えたら後悔するだろうか。
そんな事、無意味だって知りながらも、星に助けを求めるように夜空を見上げた。
***
...と、いうのは15分前の話。
今、俺は15分前は決してあり得なかった現実を目の前にしている。
そう。
遙か彼方の、一本の木の下に、浴衣姿の彼女が立っているのである。
国語の成績ではBやCは日常茶飯事。
でも視力だけは小学生から今まで、オールA。
視力においては極めて優等生だ。
あれは立花彩。彼女以外にありえない。
などと、情報処理をしている間にも、俺は彼女へ向かって歩みを進めていた。
「おい、彩。」
気づけば俺は彼女の目の前。声までかけていた。
「あ、夕!偶然だね、すごいね!」
お前の口から「夕」って音が漏れるたびに、心が飛び跳ねているなんてどうせ知らないんだろ。
ぱぁぁっと笑顔が広がる彼女はまるで開花したばかりの向日葵みたいだった。
常に太陽のほうを向いていて、俺には眩しいくらいの笑顔。
花...か。
「夕は誰かと来ているの?」
「いや、うちが近いからフラッと来てみただけ。」
ちょっと会えるかも、って期待してたなんて口が裂けても言えない。言わない。
「そっかー。」
そういった彩はスッと目線を逸らし、遠くを見つめる。
...誰かを待ってるのか?
聞きたくても、何故か怖くて言葉が喉でつかえた。
「ねぇねぇ夕。知ってた?浴衣って結構涼しいんだよ。」
と急に言われ、なんと答えるべきか迷う。
でも、なんか、それよりも彩のコロコロかわる表情に気を取られて脳が働いていないことを感じる。
「彩...」
その表情も。全部、綺麗な花みたい。
無意識に口が文章を発する。
「俺だけの花に、なる気ない?」
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黒木玲奈(プロフ) - 夏蜜柑さん» そうですね、書いてるときも思うほどです。wありがとうございます!頑張ります! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 267fae23b3 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 上杉君カッコイイ アーヤ自分の気持ちに素直になって!と思っていました更新頑張ってください応援しています (2018年8月25日 20時) (レス) id: fa082eb104 (このIDを非表示/違反報告)
黒木玲奈(プロフ) - *suzu*さん» 楽しんでいただいてるようで、幸いです!ありがとうございます、作者一同頑張ります!これからも、どうぞ夏色をよろしくお願いします。 (2018年8月25日 11時) (レス) id: 267fae23b3 (このIDを非表示/違反報告)
*suzu* - すごくドキドキさせてくれるお話です!榛名くん, 上杉くんがカッコいい!これからの展開が楽しみです。まだまだ暑いですからお体に気をつけて更新頑張ってください。 (2018年8月23日 11時) (レス) id: a962bd5f54 (このIDを非表示/違反報告)
橘綾(プロフ) - 茉莉さん» コメントありがとうございます!そういっていただけて作者一同、大変うれしいです!皆様の期待に添えるよう、頑張ります! (2018年8月11日 18時) (レス) id: 785a5fde57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:上杉奏&美門智&橘綾&黒木玲奈 x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aishou_kz
作成日時:2018年4月10日 21時